「運動が骨によい」と聞いたことはあっても、何をすればいいのかと迷う方は多いと思います。骨を強くするのに、激しい運動は必要ありません。家の中で、椅子を使いながらできる体操で十分です。骨に効く運動の種類と、今日から始められる簡単な体操をまとめました。
骨に適度な負荷をかける運動は、骨密度の維持に効果的です。家でできる簡単な体操をご紹介します。
「運動が骨によい」と聞いたことはあっても、何をすればいいのかと迷う方は多いと思います。骨を強くするのに、激しい運動は必要ありません。家の中で、椅子を使いながらできる体操で十分です。骨に効く運動の種類と、今日から始められる簡単な体操をまとめました。
骨は、負荷(重さや衝撃)がかかると強くなろうと反応する性質を持っています。「骨は生きている」の記事でご紹介した「建設チーム」(骨芽細胞)が、負荷を感じると活発に働くためです。
逆に、寝たきりや長期間の安静で骨に負荷がかからないと、骨はどんどん弱くなっていきます。宇宙飛行士が宇宙で骨密度を失うのも、無重力で骨に負荷がかからないからです。

骨を強く保つには、骨に適度な負荷をかけることです。
ここでいう負荷は「適度な」ものです。無理をする必要はまったくありません。
骨の健康に役立つ運動は、大きく3つに分けられます。
骨に体重をかける運動です。立って行うことで、重力が骨への刺激になります。
筋肉を使って、筋肉がつながっている骨に刺激を伝える運動です。筋肉が強くなると、骨にかかる力も増え、骨が強化されます。
体のバランスを鍛える運動です。骨を直接強くするわけではありませんが、転倒を防ぐことで骨折のリスクを大きく減らします。詳しくは「転倒予防」の記事をご覧ください。

この3つを組み合わせると、骨を強くしながら転倒も防げます。
以下の5つの体操は、特別な道具がなくても、家の中で安全に行えます。
⚠️ 安全のために: 体操は無理のない範囲で行ってください。痛みを感じたら中止し、主治医にご相談ください。椅子やテーブルなど、安定したものにつかまりながら行うと安心です。
やり方:
目安:1回30〜50歩、1日2〜3回
テレビを見ながら、音楽を聴きながらでもかまいません。天気が悪くて外に出られない日の、ウォーキング代わりにもなります。
やり方:
目安:5〜10回を1セット、1日2セット
膝がつま先より前に出すぎないように注意します。座りきらずに、途中まで下ろすだけでも効果があります。後ろに椅子があるので、疲れたらそのまま座れます。
やり方:
目安:10〜20回を1セット、1日2セット
ふくらはぎの筋肉を意識しましょう。バランスに自信がない方は、壁に片手をつきながら行ってください。
やり方:
目安:左右各10回を1セット、1日2セット
お腹に力を入れて行うと、体幹の筋力も一緒に鍛えられます。腰に痛みがある方は無理をしないでください。
やり方:
目安:5〜10回を1セット、1日2セット
床で行う腕立て伏せの、やさしい版です。腕と胸の筋力を鍛えながら、腕の骨にも刺激が伝わります。壁から離れるほど負荷が増します。

運動は、続かなければ効果が出ません。無理なく続けるためのヒントです。
1日30分のまとまった時間がなくても大丈夫です。テレビのCM中に足踏み、歯を磨きながらかかと上げ、といった「ながら運動」でも、骨への刺激になります。CMが長い番組ほど、骨にとってはありがたい番組です。
どれくらい歩けばいいのか数字で知りたい、という方のための目安です。
日光を浴びながら歩けば、体の中でビタミンDが作られるという利点もあります。
この数字は、届かなければ意味がないというものではありません。目標に届くことより、今より少し増やすことを目指してください。8,000歩に届かない日があっても、まったく問題ありません。
「朝の歯磨きのあとにかかと上げ」「お昼ごはんの前にスクワット」など、すでにある習慣にくっつけると忘れにくくなります。
体調が悪い日、膝や腰が痛い日は、お休みしてかまいません。1日休んだからといって、これまでの努力が無駄になることはありません。
ご家族やお友達と一緒に取り組むと、励まし合えて長続きしやすくなります。「骨活体操」として、一緒にやってみてはいかがでしょうか。
完璧を目指す必要はありません。昨日より少しだけ、を積み重ねていきましょう。
以下のような場合は、運動の前に主治医にご相談ください。
骨粗鬆症の治療中であっても、適度な運動は多くの場合推奨されています。ただし、骨折リスクが高い方は、ジャンプやひねりの動作など、転倒や骨折につながりやすい運動は避けたほうがよいとされています。
背骨の圧迫骨折がある方、または骨密度が非常に低い方は、前屈み(前屈)の動作にご注意ください。背中を丸めて前にかがむ姿勢は背骨に大きな負荷がかかり、新たな圧迫骨折のリスクを高めることがあるとされています。
不安な場合は、主治医やリハビリの専門家に相談して、安全な運動プログラムを作ってもらいましょう。
[!info] 腰部脊柱管狭窄症をお持ちの方へ 腰部脊柱管狭窄症がある方は、運動の種類によって症状が悪化することがあります。腰を反らす動作は避け、前かがみ姿勢で行える運動(エアロバイクなど)が推奨されています。脊柱管狭窄症に適した運動プログラムについては 腰痛・狭窄症 相談室(scs-for-lcs.com) もご参照ください。
「どんな運動をどのくらいすればよいか」は、個人差が大きいものです。迷ったら主治医やリハビリの専門家にご相談ください。
Q. 水泳は骨を強くしますか?
水泳は心肺機能や筋力の維持に優れた運動ですが、水中では体重がかかりにくいため、骨への刺激という点ではウォーキングやスクワットのほうが効果的とされています。ただし、膝や腰に痛みがあって陸上での運動が難しい方には、水泳や水中歩行はよい選択肢です。
Q. ヨガやストレッチは骨によいですか?
ヨガやストレッチは柔軟性やバランスの向上に役立ち、転倒予防に有用です。ただし、骨密度を直接高める効果は、荷重運動や筋力運動ほど強くないとされています。骨のためには、荷重運動や筋力運動と組み合わせるのがおすすめです。
Q. 毎日やらないと意味がないですか?
毎日でなくても大丈夫です。週に2〜3回でも、続けることで骨や筋肉への効果が期待できます。回数を増やすより、長く続けることを優先してください。
Q. 骨粗鬆症と診断されていても運動してよいですか?
多くの場合、適度な運動は骨粗鬆症の方にも推奨されています。ただし、重度の骨粗鬆症の方や、圧迫骨折のある方は、一部の運動(前屈みの動作、ジャンプ、ひねりなど)を避ける必要がある場合があります。主治医やリハビリの専門家に相談のうえ、安全な運動を選んでください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)
最終更新:2026年8月4日