日本人の多くがビタミンD不足。窓ガラス越しの日光では作られない理由、季節と地域で違う日光浴の時間、魚ときのこで補う方法を解説します。
日本は、ビタミンD不足になりやすい条件がいくつも重なっている国です。

日本では、日焼け止め・日傘・長袖など、紫外線を避ける習慣が広く根づいています。シミや日焼けを防ぐ工夫は大切ですが、ビタミンDは皮膚に紫外線B(UVB)が当たることで作られます。日焼け止めはこのUVBをしっかり防ぐため、一日じゅう全身を完全に防いでいると、ビタミンDはほとんど作られません。
日本は北緯26度(沖縄)から北緯45度(北海道)にまたがっています。冬は太陽が低く、UVBがとても弱くなります。北の地域ほどその差は大きく、冬の札幌では、日光だけで十分な量を作るのは難しくなります(下の「日光浴の目安」をご覧ください)。
年齢を重ねると、外出の機会が減りがちです。特に冬は寒さもあり、屋内で過ごす時間が長くなります。ここで知っておきたいのが、窓ガラスはUVBをほとんど通さないということです。日当たりのよい窓ぎわで日向ぼっこをしていても、車の窓越しに日が当たっていても、ビタミンDはほとんど作られません。窓ぎわの日向ぼっこは、温まるのは体だけ、というわけです。
皮膚がビタミンDを作る力は、年齢とともに低下します。10代の皮膚と70〜80代の皮膚を比べた研究では、作る力が半分以下に落ちていました。同じだけ日に当たっても、若い方と同じ量は作れません。
日本人のビタミンD不足は、紫外線を避ける習慣・冬の弱い日差し・室内中心の生活・加齢の4つが重なった結果と考えられています。
では、何分くらい日を浴びればよいのでしょうか。国立環境研究所などの研究チームが、晴れた日に顔と両手に日光を浴びたとして、1日の目安の量のビタミンDを作るのに必要な時間を計算しています(2013年発表)。

| 地点 | 12月の正午ごろ(晴れ) |
|---|---|
| 那覇 | 約8分 |
| つくば(茨城県) | 約22分 |
| 札幌 | 約76分 |
※研究当時の1日の目安量(5.5 μg)を、日光だけで作る場合の計算です。現在の目安量(9.0 μg)はこれより多いため、実際にはもう少し長い時間、または食事との組み合わせが必要です。
夏はずっと短く、7月の正午のつくばでは、わずか数分(約3.5分)です。一方、冬の北の地域では、日光だけで足りる量を作るのは難しくなります。
同じ12月のつくばでも、朝9時に浴びると正午の約5倍の時間がかかります(約106分)。午後3時ではさらに長くなります。ビタミンDを作るのに効率がよいのは、午前10時〜午後2時ごろです。冬はとくに、お昼前後に外へ出ましょう。
冬の道を歩くときは、冬の転倒と骨折の靴と歩き方もあわせてご覧ください。
日光が弱い冬は、食事からのビタミンDを意識しましょう。ビタミンDが多いのは、魚ときのこです。日本の食卓になじみやすい食品ばかりです。

| 食品 | 目安量 | ビタミンD量(おおよそ) |
|---|---|---|
| 鮭(しろさけ) | 1切れ(生で80g) | 約26 μg |
| さんま(皮つき・焼き) | 100g(約1尾分の身) | 約13 μg |
| いわし(まいわし・焼き) | 100g | 約14 μg |
| しらす干し(半乾燥品) | 大さじ2杯(10g) | 約6 μg |
| ツナ缶(まぐろ水煮・ライト) | 小1缶(70g) | 約2 μg |
| 卵 | 1個(50g) | 約2 μg |
鮭は1切れで、1日の目安量(9.0 μg)のおよそ3倍。焼いても、ビタミンDはほとんど減りません。いわしやさんまは、焼くと生より少なくなりますが、それでも1日分を超える量が摂れます。
| きのこ | 100gあたりのビタミンD量(おおよそ) | 日常の使い方 |
|---|---|---|
| きくらげ(乾) | 約85 μg | 中華炒め、スープ、酢の物 |
| 干ししいたけ(乾) | 約17 μg | 煮物、味噌汁のだし |
| まいたけ | 約5 μg | 天ぷら、炒め物、味噌汁 |
| ぶなしめじ | 約0.5 μg | 味噌汁の具 |
※乾燥きのこは、1回に使う量が数グラムです。たとえば乾燥きくらげ5gなら約4 μgになります。
干ししいたけは、調理の前に30分〜1時間ほど日なたに置くだけで、ビタミンDが増えるとされています。昔ながらの知恵です。
週に2〜3回は魚料理を。きのこはお味噌汁や炒め物に。カルシウムとの組み合わせも意識してみましょう。
| 基準 | 量 | 目的 |
|---|---|---|
| 日本人の食事摂取基準(2025年版) | 目安量 9.0 μg/日 | 成人(18歳以上、男女とも) |
| 日本骨粗鬆症学会 | 10〜20 μg/日 | 骨粗鬆症の予防・治療の栄養管理 |
これ以上は摂らないほうがよい量(耐容上限量)は、成人で100 μg/日です。ふつうの食事と日光浴で摂りすぎになることは、まずありません。
ビタミンDが足りているかどうかは、血液検査で25(OH)D(にじゅうご・ヒドロキシ・ビタミンD)という値を調べるとわかります。
| 判定 | 25(OH)Dの値 |
|---|---|
| 充足 | 30 ng/mL 以上 |
| 不足 | 20〜30 ng/mL |
| 欠乏 | 20 ng/mL 未満 |
次の診察で、「ビタミンDは足りていますか?」と聞いてみてください。
Q. 窓越しの日光でもビタミンDは作られますか?
窓ガラスは、ビタミンDを作るのに必要な紫外線B(UVB)をほとんど通しません。屋外に出るか、窓を開けて日を浴びましょう。ベランダや庭先での短い日光浴で十分です。
Q. 日焼けが気になるのですが、日光浴は必要ですか?
「日焼け」するほど長く浴びる必要はありません。夏なら数分〜十数分、木陰でも助けになります。顔が気になる方は、手の甲や腕だけでも。どうしても日光浴が難しい季節や体調のときは、魚やきのこなど食事からの分を増やしましょう。
Q. ビタミンDのサプリメントは飲んだほうがよいですか?
まずは食事と日光浴が基本です。サプリメントを考えるときは、骨粗鬆症の治療中の方は特に、自己判断で始めずに主治医にご相談ください。くわしくはサプリの賢い使い方をご覧ください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)
最終更新:2026年10月12日