「骨にはカルシウム」——誰もが知っている常識ですよね。でも実は、カルシウムだけでは骨は十分に強くなりません。骨を作り、守るためには、いくつかの栄養素がチームワークで働く必要があるのです。この記事では、骨の健康を支える栄養素と、毎日の食事に取り入れやすい食品をご紹介します。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンK2、タンパク質...骨を強くする栄養素と、毎日の食事での摂り方。
「骨にはカルシウム」——誰もが知っている常識ですよね。でも実は、カルシウムだけでは骨は十分に強くなりません。骨を作り、守るためには、いくつかの栄養素がチームワークで働く必要があるのです。この記事では、骨の健康を支える栄養素と、毎日の食事に取り入れやすい食品をご紹介します。
骨は、カルシウムだけでできているわけではありません。「骨は生きている」の記事でご紹介したように、骨は毎日壊されて作り直されています。この「作る」作業には、さまざまな栄養素が協力して働いています。
いわば、骨を作るための「栄養チーム」。メンバーを一人ずつご紹介しましょう。

骨の健康は「カルシウムだけ」ではなく、複数の栄養素のチームワークで支えられています。
カルシウムは、骨と歯の主な材料です。体内のカルシウムの約99%が骨と歯に蓄えられています。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人女性のカルシウム推奨量は1日あたり650mgとされています。なお、骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインでは、骨の健康のために700〜800mgを目標とすることが推奨されています。しかし、日本人の平均摂取量は約500mg前後にとどまっており、多くの方が不足気味です。
同じ量のカルシウムを食べても、体に吸収される割合は食品ごとに大きく異なります。
| 食品グループ | 吸収率(おおよそ) | 代表的な食品 |
|---|---|---|
| 乳製品 | 約40% | 牛乳、ヨーグルト、チーズ |
| 小魚 | 約33% | しらす、煮干し、わかさぎ |
| アブラナ科の野菜 | 約27% | 小松菜、チンゲン菜、ブロッコリー |
| 大豆製品 | 約18〜20% | 豆腐、納豆 |
| ほうれん草 | 約5% | シュウ酸がカルシウム吸収を妨げるため |
乳製品の吸収率が一番高いですが、苦手な方も心配いりません。小魚や小松菜など複数の食品を組み合わせれば、十分なカルシウムを摂ることができます。
| 食品 | 1食あたりの目安量 | カルシウム量(おおよそ) |
|---|---|---|
| 牛乳 | コップ1杯(200ml) | 約220mg |
| ヨーグルト | 1カップ(100g) | 約120mg |
| 木綿豆腐 | 半丁(150g) | 約180mg |
| 小松菜 | おひたし1皿(80g) | 約130mg |
| しらす干し | 大さじ2杯(10g) | 約50mg |
| 干しエビ | 大さじ1杯(5g) | 約355mg |
| ひじき(乾燥) | 煮物1皿分(10g) | 約100mg |
| チーズ | スライス1枚(20g) | 約130mg |
| 煮干し | 5本程度(10g) | 約220mg |
乳製品が苦手な方も、豆腐・小松菜・小魚・ひじきなど、日本の伝統的な食品からカルシウムを摂ることができます。

ワンポイント: カルシウムは一度に大量に摂っても吸収しきれません。朝・昼・晩の3食に分けて少しずつ摂るのが効果的です。
カルシウムをたくさん食べても、腸からうまく吸収されなければ骨には届きません。ビタミンDは、腸でカルシウムの吸収を助ける、いわば「案内係」のような存在です。
ビタミンDには、食品から摂る方法と、日光を浴びて体内で作る方法の2つがあります。
食品から:
| 食品 | 1食あたりの目安量 | ビタミンD量(おおよそ) |
|---|---|---|
| 鮭(紅鮭) | 1切れ(80g) | 約26μg |
| さんま | 1尾(100g) | 約16μg |
| しらす干し | 大さじ2杯(10g) | 約6μg |
| 干ししいたけ | 2〜3枚(6g) | 約1μg |
| 卵 | 1個 | 約2μg |
| きくらげ(乾燥) | 5g | 約4μg |
日光から:
天気の良い日に10〜15分程度、顔や手に日光を浴びることで、体内でビタミンDが作られます。冬場や曇りの日は日光が弱いため、食品からの摂取がより大切になります。
日本人はビタミンD不足が多いとされています。魚を食べる習慣と、日に当たる習慣の2つを心がけてみましょう。
ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収がよくなります。鮭をバターで焼く、しいたけを炒め物にするなど、調理法も工夫してみてください。
ビタミンKは、カルシウムが骨にしっかりと取り込まれるのを助ける栄養素です。カルシウムが骨にたどり着いても、ビタミンKがないと「定着」しにくいのです。
| 食品 | 1食あたりの目安量 | ビタミンK量(おおよそ) |
|---|---|---|
| 納豆 | 1パック(50g) | 約500μg以上(MK-7) |
| 小松菜 | おひたし1皿(80g) | 約170μg |
| ほうれん草 | おひたし1皿(80g) | 約220μg |
| ブロッコリー | 付け合わせ1皿(60g) | 約95μg |
| 春菊 | 1/3束(60g) | 約150μg |
納豆は特別な食品です。 納豆に含まれるビタミンK2(メナキノン-7)は、骨の健康に特に重要とされ、体内での利用効率がとても高いことが知られています。1日1パックの納豆は、骨活の心強い味方です。

納豆が苦手な方は、緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど)からビタミンKを摂ることができます。
ご注意: ワルファリン(血液をサラサラにするお薬)を服用中の方は、ビタミンKの摂取に制限があります。必ず主治医の指示に従ってください。
骨をコンクリートの建物にたとえると、カルシウムが「コンクリート」、タンパク質は建物を支える「鉄筋」にあたります。骨の約50%はタンパク質(主にコラーゲン)で構成されており、しなやかさと強さの両方を支えています。
成人女性の推奨量は1日あたり約50gです。
タンパク質は、骨だけでなく筋肉にも大切です。筋肉が衰えると転倒しやすくなるため、骨折予防の観点からもしっかり摂りたい栄養素です。
マグネシウムは、カルシウムと一緒に骨の構造を支える栄養素です。体内のマグネシウムの約60%が骨に含まれています。
日本の伝統的な和食(味噌汁+豆腐+海藻)は、実はマグネシウムが豊富な食事パターンです。
栄養素は単独で摂るよりも、組み合わせて摂ることで効果を発揮しやすくなります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| カルシウム+ビタミンD | ビタミンDがカルシウムの吸収を助ける |
| カルシウム+ビタミンK | ビタミンKがカルシウムを骨に定着させる |
| タンパク質+カルシウム | タンパク質が骨の土台を作り、カルシウムが強度を与える |
| ビタミンD+油脂 | 脂溶性のビタミンDは油と一緒に吸収がよくなる |
朝食: ごはん、味噌汁(豆腐+わかめ)、納豆、ほうれん草のおひたし → カルシウム+ビタミンK+マグネシウム+タンパク質
昼食: 鮭の塩焼き、小松菜の炒め物、ひじきの煮物、ごはん → ビタミンD+カルシウム+ビタミンK
おやつ: ヨーグルト、アーモンド少々 → カルシウム+マグネシウム
夕食: 肉じゃが(鶏肉)、冷ややっこ(しらす干しのせ)、ブロッコリーのサラダ → タンパク質+カルシウム+ビタミンK

すべてを毎日完璧に揃える必要はありません。意識して取り入れる回数を少しずつ増やしていくだけで十分です。
骨によい食品を摂ることと同時に、骨によくない習慣を知っておくことも大切です。
「まったく摂らない」必要はありません。「ほどほどに」を心がけるだけで十分です。
Q. カルシウムのサプリメントは飲んだほうがよいですか?
食事だけで十分なカルシウムが摂れない場合は、サプリメントも選択肢のひとつです。ただし、サプリメントで過剰に摂ることにはリスクもあるとされています。まずは食事からの摂取を基本とし、サプリメントの使用については主治医や薬剤師にご相談ください。
Q. 牛乳が苦手なのですが、カルシウムは摂れますか?
はい、大丈夫です。豆腐、小松菜、小魚、ひじき、ナッツ類など、乳製品以外にもカルシウムが豊富な食品はたくさんあります。日本の伝統的な和食は、乳製品に頼らなくてもカルシウムが摂れる食文化です。
Q. カルシウムとビタミンDは一緒に摂ったほうがよいですか?
はい、一緒に摂ることで、カルシウムの吸収効率が高まります。たとえば、鮭(ビタミンD)と豆腐(カルシウム)の組み合わせは理にかなっています。
Q. 骨粗鬆症の治療中ですが、食事も気をつけたほうがよいですか?
はい、薬物治療と並行して、食事や運動などの生活習慣の改善も大切とされています。とくにカルシウムとビタミンDの摂取は、多くの骨粗鬆症治療ガイドラインで推奨されています。具体的な目標量は、主治医にご確認ください。
Q. コーヒーを飲むのをやめたほうがよいですか?
1日2〜3杯程度であれば、骨への大きな影響は心配ないとされています。カフェインを気にするあまり、楽しみを我慢しすぎるのも健康的ではありません。ミルクを入れて飲めば、カルシウムも一緒に摂れます。
この記事では骨の栄養の全体像をご紹介しました。それぞれの栄養素や実践方法について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事もぜひご覧ください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・医籍登録 409723号)
東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院
最終更新:2026年3月18日
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