「ステロイドを飲んでいると骨が弱くなるって本当?」「リウマチの薬をやめられないけど、骨は大丈夫?」。ステロイド(副腎皮質ステロイド薬)を長期間使っている方から、よくいただく質問です。
ステロイド性骨粗鬆症(グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症=GIOP)は、閉経後の骨粗鬆症とは原因も、治療を始める基準も、適した薬も異なります。
ステロイド薬を長期間使っている方へ。通常の骨粗鬆症とは異なる仕組み、治療開始の基準、骨を守りながら治療を続ける方法を解説します。
「ステロイドを飲んでいると骨が弱くなるって本当?」「リウマチの薬をやめられないけど、骨は大丈夫?」。ステロイド(副腎皮質ステロイド薬)を長期間使っている方から、よくいただく質問です。
ステロイド性骨粗鬆症(グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症=GIOP)は、閉経後の骨粗鬆症とは原因も、治療を始める基準も、適した薬も異なります。
ステロイドは、次のような病気で炎症や免疫の異常を抑えるために使われます。
これらの病気の治療に、ステロイドは欠かせません。「骨に悪いから」と自己判断でやめることは絶対に避けてください。骨を守りながらステロイド治療を続ける方法があります。
ステロイドは骨に対して、3つの悪影響を同時に及ぼします。
ステロイドは骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きを直接抑えてしまいます。新しい骨がつくられにくくなるため、骨が修復されないまま弱くなっていきます。
とくに使い始めの時期に、骨を壊す細胞(破骨細胞)の活動が活発になります。つくるスピードよりも壊すスピードが上回り、骨量が急速に減ります。
ステロイドは腸からのカルシウム吸収を妨げ、さらに腎臓からのカルシウム排泄を増やします。入ってくるカルシウムが減り、出ていくカルシウムが増えます。

ステロイドによる骨量減少は、使い始めの3〜6ヶ月がもっとも急速です。
通常の加齢による骨量減少の数倍のスピードです。そのため、予防はステロイドを始めた早い段階から考えます。
飲み薬のステロイドを3ヶ月以上使っている方、または使う予定の方が対象です。4つの項目の点数を足し、合計が3点以上なら薬による治療が勧められます。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 軽い力で骨折したことがある | 7点 |
| 年齢 | 50〜64歳:2点/65歳以上:4点 |
| ステロイドの量(プレドニゾロン換算・1日あたり) | 5〜7.5mg未満:1点/7.5mg以上:4点 |
| 骨密度(若い人の平均と比べた割合) | 70〜80%未満:2点/70%未満:4点 |
65歳以上の方は年齢だけで4点になるので、骨密度が正常でも治療の対象になります。
| 項目 | 通常の骨粗鬆症 | ステロイド性 |
|---|---|---|
| 骨密度の扱い | 低ければ単独で治療開始の理由になる | 点数の一部(若い人の平均の80%未満から加点) |
| 予防治療の開始 | 骨折リスクが高い場合 | ステロイド開始と同時 |
| 骨折リスクの評価 | 骨密度が主な指標 | 骨密度+ステロイド量+期間 |
ステロイド性骨粗鬆症では、骨密度が少し下がった段階や、ステロイドを始めた時点で、もう治療を考えます。
5mg/日は関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症で一般的な「低用量」の維持量です。「少量だから大丈夫」と思いがちですが、3ヶ月以上続けば骨への影響が出てきます。
吸入ステロイド(喘息の吸入薬)は、通常量であれば全身の骨への影響は少ないとされています。ただし、高用量の吸入を長期間続ける場合は注意が必要です。
ステロイド性骨粗鬆症には予防・治療のためのお薬があり、主治医が病状に合わせて選びます。多くは、ステロイドによって増えてしまった「骨を壊す働き」を抑えるタイプのお薬です。
これらのお薬は骨が壊されるのを防ぎ、ステロイドによって増えた骨吸収を抑えます。
すでに骨折がある方や、骨密度が著しく低い方では、骨をつくる働きを高めるタイプのお薬が選ばれることがあります。ステロイドで特に低下する「骨をつくる力」を直接補うことができます。
腎機能の低下や消化器の問題などで使いにくいお薬がある場合は、別のタイプのお薬が選択されることがあります。どのお薬が適しているかは、主治医が病状や体の状態を見て判断します。
どの治療薬を使う場合でも、次の2つを補うことが基本になります(お薬として処方されることもあります)。
詳しくは骨を強くする食事をご覧ください
ステロイドは筋力も低下させます。骨と筋肉を同時に守りましょう。
ただし、ステロイドを高用量で使用している初期は関節や筋肉への負担に注意が必要です。主治医に相談して、適切な運動量を決めましょう。
ステロイドを処方しているのはリウマチ科や呼吸器科の先生で、骨粗鬆症は整形外科、というように、複数の科にまたがることがよくあります。
「リウマチの先生と整形の先生、どちらが骨の薬を管理してくれるのですか?」と確認して、どちらの医師が骨粗鬆症の治療を担当するかをはっきりさせておきましょう。
ステロイドを中止すると骨量減少のスピードは遅くなりますが、失われた骨量が完全に回復するとは限りません。とくに長期間使用した場合は、ステロイド中止後も骨粗鬆症の治療を続ける必要があることがあります。主治医と相談してください。
5mg/日未満でも、長期間使用すれば骨への影響はあります。ガイドラインの「5mg以上で3ヶ月以上」は治療を開始する明確な基準ですが、それ以下でも年齢や他のリスク因子を考慮して予防治療が行われることがあります。
通常量の吸入ステロイドであれば、全身の骨への影響は少ないと考えられています。ただし、高用量の吸入を長期間続ける場合や、内服ステロイドと併用する場合は注意が必要です。気になる方は呼吸器科の先生に骨密度検査について相談してみましょう。
関節リウマチ自体が骨を弱くする因子です(関節の炎症が骨を壊す物質を増やす)。一方、リウマチを適切に治療して炎症を抑えることは骨にとっても良いことです。リウマチの治療で炎症を抑えることは、骨折リスクを下げる可能性があると報告されています。
短期間(3〜5日程度)のパルス療法のみで骨粗鬆症が進行するリスクは低いと考えられています。ただし、パルス後にステロイド内服が続く場合(漸減療法)は通常のステロイド性骨粗鬆症の管理が必要です。
ステロイドを5mg/日以上で3ヶ月以上使用する予定がある場合、骨密度が正常でも予防治療が推奨されることがあります。ステロイド性骨粗鬆症では骨密度だけでは骨折リスクを正確に評価できないためです。ガイドラインのスコア表で総合的に判断されます。
ステロイドは病気を治すために必要なお薬で、骨への影響は予防と治療で対処できます。ステロイドが怖いからとやめずに、骨を守りながら治療を続けてください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。ステロイド治療と骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)
最終更新:2026年5月17日