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ステロイドと骨 — お薬で骨が弱くなる?ステロイド性骨粗鬆症を知る

ステロイド薬を長期間使っている方⁠へ。通常の骨粗鬆症とは異なる仕組み、治療開始の基準、骨を守りながら治療を続ける方⁠法を解説します。

「ステロイドを飲んでいると骨が弱くなるって本当?」「リウマチの薬をやめられないけど、骨は大丈夫?」。ステロイド(副腎皮質ステロイド薬)を長期間使っている方から、よくいただく質問です。

ステロイド性骨粗鬆症(グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症=GIOP)は、閉経後の骨粗鬆症とは原因も、治療を始める基準も、適した薬も異なります。

この動画はAI音声・映像技術を使用して制作しています。内容は整形外科専門医が監修しています。

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このページでわかること

  • ステロイドがなぜ骨を弱くするのか、その仕組みがわかります
  • どのくらいの量・期間で注意が必要かがわかります
  • 閉経後骨粗鬆症との違いがわかります
  • 骨密度が正常でも骨⁠折することがある理由がわかります
  • 予防のためのお薬と、始めるタイミングがわかります
  • ステロイドを使いながら骨を守る方⁠法がわかります

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ステロイドを使う代表的な病気

ステロイドは、次のような病気で炎症や免疫の異常を抑えるために使われます。

  • 関節リウマチ(RA)
  • 気管支喘息(吸入だけでなく内服が必要な場合)
  • リウマチ性多発筋痛症(PMR)
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 間質性肺炎
  • ネフローゼ症候群
  • 臓器移植後の免疫抑制

これらの病気の治療に、ステロイドは欠かせません。「骨に悪いから」と自己判断でやめることは絶対に避けてください。骨を守りながらステロイド治療を続ける方⁠法があります。


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ステロイドはどうやって骨を弱くするの?

ステロイドは骨に対して、3つの悪影響を同時に及ぼします。

1. 骨をつくる力が落ちる(骨形成低下)

ステロイドは骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きを直接抑えてしまいます。新しい骨がつくられにくくなるため、骨が修復されないまま弱くなっていきます。

2. 骨を壊す力が強まる(骨吸収亢進)

とくに使い始めの時期に、骨を壊す細胞(破骨細胞)の活動が活発になります。つくるスピードよりも壊すスピードが上回り、骨量が急速に減ります。

3. カルシウムの吸収が悪くなる

ステロイドは腸からのカルシウム吸収を妨げ、さらに腎臓からのカルシウム排泄を増やします。入ってくるカルシウムが減り、出ていくカルシウムが増えます。

ステロイドが骨に及ぼす3つの影響

骨量の減り方のスピード

ステロイドによる骨量減少は、使い始めの3〜6ヶ月がもっとも急速です。

  • 最初の1年間:骨密度が年間5〜15%減少することがある
  • その後:年間2〜5%程度のペースで減少が続く
  • 閉経後骨粗鬆症:年間1〜3%程度の減少

通常の加齢による骨量減少の数倍のスピードです。そのため、予防はステロイドを始めた早い段階から考えます。


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「骨密度が正常」でも骨⁠折する?

閉経後骨粗鬆症では、骨密度(Tスコア)が下がるほど骨⁠折リスクが高くなります。しかし、ステロイド性骨粗鬆症では事情が異なります。

骨密度だけでは測れない「骨の質」の低下

ステロイドは、骨密度の数値に表れない骨の質(骨質)も悪化させます。

  • 骨の微細構造(トラベキュラ)の劣化
  • 骨のコラーゲンの質の低下
  • 骨細胞のアポトーシス(細胞死)

そのため、Tスコアが−2.5に達していなくても(「骨粗鬆症」の診断基準を満たしていなくても)、骨⁠折リスクは上がっています。

ステロイド性骨粗鬆症では、「骨密度が正常だから大丈夫」とは言えません。ステロイドを使っているという事実そのものがリスク因子です。


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どのくらいのステロイドで注意が必要?

日⁠本のガイドライン(2014年改訂版)の治療開始基準

飲み薬のステロイドを3ヶ月以⁠上⁠使っている方、または使う予定の方が対象です。4つの項目の点数を足し、合計が3点以上なら薬による治療が勧められます。

項目 点数
軽い力で骨⁠折したことがある 7点
年齢 50〜64歳:2点/65歳以上:4点
ステロイドの量(プレドニゾロン換算・1⁠日⁠あたり) 5〜7.5mg未満:1点/7.5mg以上:4点
骨密度(若い人の平均と比べた割合) 70〜80%未満:2点/70%未満:4点

65歳以上の方は年齢だけで4点になるので、骨密度が正常でも治療の対象になります。

通常の骨粗鬆症より「甘い」基準で治療を始める理由

項目 通常の骨粗鬆症 ステロイド性
骨密度の扱い 低ければ単独で治療開始の理由になる 点数の一部(若い人の平均の80%未満から加点)
予防治療の開始 骨⁠折リスクが高い場合 ステロイド開始と同時
骨⁠折リスクの評価 骨密度が主な指標 骨密度+ステロイド量+期間

ステロイド性骨粗鬆症では、骨密度が少し下がった段階や、ステロイドを始めた時点で、もう治療を考えます。

ステロイド5mg/日とは

5mg/日は関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症で一般的な「低用量」の維持量です。「少量だから大丈夫」と思いがちですが、3ヶ月以上続けば骨への影響が出てきます。

吸入ステロイド(喘息の吸入薬)は、通常量であれば全身の骨への影響は少ないとされています。ただし、高用量の吸入を長期間続ける場合は注意が必要です。


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ステロイド性骨粗鬆症の治療

骨を守る治療薬があります

ステロイド性骨粗鬆症には予防・治療のためのお薬があり、主治医が病状に合わせて選びます。多くは、ステロイドによって増えてしまった「骨を壊す働き」を抑えるタイプのお薬です。

  • 治療効果を示すデータが蓄積しているお薬があります
  • 椎体(背骨)の骨⁠折を防ぐ効果が確認されているお薬もあります

これらのお薬は骨が壊されるのを防ぎ、ステロイドによって増えた骨吸収を抑えます。

骨をつくる力を補う治療

すでに骨⁠折がある方や、骨密度が著しく低い方では、骨をつくる働きを高めるタイプのお薬が選ばれることがあります。ステロイドで特に低下する「骨をつくる力」を直接補うことができます。

体の状態に合わせた選択

腎機能の低下や消化器の問題などで使いにくいお薬がある場合は、別のタイプのお薬が選択されることがあります。どのお薬が適しているかは、主治医が病状や体の状態を見て判断します。

基本の併用

どの治療薬を使う場合でも、次の2つを補うことが基本になります(お薬として処方されることもあります)。

  • カルシウム:ステロイドで吸収が悪くなるのを補う
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける

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ステロイドを使いながら骨を守る

お薬の管理

  • ステロイドを自己判断で減量・中止しない(原疾患の悪化は骨にも影響します)
  • 骨粗鬆症のお薬は主治医の指示通りに続ける
  • ステロイドを始める際に「骨は大丈夫ですか?」と聞いてみましょう

食事の工夫

  • カルシウムを意識して摂る(牛乳、小魚、豆腐、小松菜など)
  • ビタミンDを食事からも補う(鮭、しらす、干ししいたけなど)
  • タンパク質をしっかり摂る(筋力の維持にも要る)

詳しくは骨を強くする食事をご覧ください

運動

ステロイドは筋力も低下させます。骨と筋肉を同時に守りましょう。

  • ウォーキング(荷重運動で骨に刺激を与える)
  • 軽い筋力トレーニング(スクワット、かかと上げなど)
  • バランス運動(転倒予防)

ただし、ステロイドを高用量で使用している初期は関節や筋肉への負担に注意が必要です。主治医に相談して、適切な運動量を決めましょう。

詳しくは骨を強くする運動と転倒予防をご覧ください

定期検査

  • 骨密度検査(DEXA):年1回は測定
  • 血液検査(骨代謝マーカー):治療効果の確認
  • 背骨のレントゲン:椎体骨⁠折の早期発見(痛みがない骨⁠折もあります)

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複数の科にかかっている方⁠へ

ステロイドを処方しているのはリウマチ科や呼吸器科の先生で、骨粗鬆症は整形外科、というように、複数の科にまたがることがよくあります。

お薬手帳で情報を共有

  • すべての受診先にお薬手帳を見せましょう
  • 「ステロイドを○mg飲んでいます」と各科で伝えてください
  • 骨粗鬆症の薬を別の科で処方されている場合は、必ず伝えましょう

主治医間の連携をお願いする

「リウマチの先生と整形の先生、どちらが骨の薬を管理してくれるのですか?」と確認して、どちらの医師が骨粗鬆症の治療を担当するかをはっきりさせておきましょう。


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よくある質問

Q. ステロイドをやめれば骨は元に戻りますか?

ステロイドを中止すると骨量減少のスピードは遅くなりますが、失われた骨量が完⁠全に回復するとは限りません。とくに長期間使用した場合は、ステロイド中止後も骨粗鬆症の治療を続ける必要があることがあります。主治医と相談してください。

Q. ステロイド5mg以下なら大丈夫ですか?

5mg/日未満でも、長期間使用すれば骨への影響はあります。ガイドラインの「5mg以上で3ヶ月以上」は治療を開始する明確な基準ですが、それ以下でも年齢や他のリスク因子を考慮して予防治療が行われることがあります。

Q. 吸入ステロイド(喘息の吸入薬)でも骨は弱くなりますか?

通常量の吸入ステロイドであれば、全身の骨への影響は少ないと考えられています。ただし、高用量の吸入を長期間続ける場合や、内服ステロイドと併用する場合は注意が必要です。気になる方は呼吸器科の先生に骨密度検査について相談してみましょう。

Q. 関節リウマチの場合、ステロイド以外のリウマチの薬は骨に悪くないですか?

関節リウマチ自体が骨を弱くする因子です(関節の炎症が骨を壊す物質を増やす)。一方、リウマチを適切に治療して炎症を抑えることは骨にとっても良いことです。リウマチの治療で炎症を抑えることは、骨⁠折リスクを下げる可能性があると報告されています。

Q. ステロイドパルス療法(短期間の大量投与)でも骨が心配です

短期間(3〜5日程度)のパルス療法のみで骨粗鬆症が進行するリスクは低いと考えられています。ただし、パルス後にステロイド内服が続く場合(漸減療法)は通常のステロイド性骨粗鬆症の管理が必要です。

Q. 骨密度がまだ正常と言われていますが、予防の薬は必要ですか?

ステロイドを5mg/日以上で3ヶ月⁠以⁠上⁠使⁠用する予定がある場合、骨密度が正常でも予防治療が推奨されることがあります。ステロイド性骨粗鬆症では骨密度だけでは骨⁠折リスクを正確に評価できないためです。ガイドラインのスコア表で総合的に判断されます。


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今⁠日からできること

  1. ステロイドを処方されている方は「骨は大丈夫ですか?」と聞いてみる
  2. 年1回は骨密度検査を受ける
  3. カルシウムとビタミンDを意識して摂る
  4. 適度な運動を続ける(ウォーキングなどの荷重運動)
  5. すべての受診先でお薬手帳を見せる

ステロイドは病気を治すために必要なお薬で、骨への影響は予防と治療で対処できます。ステロイドが怖いからとやめずに、骨を守りながら治療を続けてください。


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参考文献

  • 日⁠本骨代謝学会ほか. ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年改訂版
  • 日⁠本骨粗鬆症学会ほか. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
  • Buckley L, et al. 2017 American College of Rheumatology Guideline for the Prevention and Treatment of Glucocorticoid-Induced Osteoporosis. Arthritis Rheumatol. 2017;69(8):1521-1537. PMID 28585373
  • Compston J. Glucocorticoid-induced osteoporosis: an update. Endocrine. 2018;61(1):7-16. PMID 29691807

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。ステロイド治療と骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。

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