「骨をつくる力を高めながら、壊されるのも防ぐお薬がある」——ロモソズマブ(商品名:イベニティ)は、骨粗鬆症治療薬の中でもユニークな存在です。「つくる」と「まもる」の二つの力を同時に持っているため、短い期間で骨密度を大きく改善することが期待されています。この記事では、ロモソズマブがどんなお薬か、どのように使い、どんなことに気をつければよいか、わかりやすくお伝えします。
骨をつくる力を高めながら、壊れるのも抑える「二刀流」のお薬。12ヶ月限定の集中治療と、心臓への注意点を解説します。
「骨をつくる力を高めながら、壊されるのも防ぐお薬がある」——ロモソズマブ(商品名:イベニティ)は、骨粗鬆症治療薬の中でもユニークな存在です。「つくる」と「まもる」の二つの力を同時に持っているため、短い期間で骨密度を大きく改善することが期待されています。この記事では、ロモソズマブがどんなお薬か、どのように使い、どんなことに気をつければよいか、わかりやすくお伝えします。
私たちの骨の中には、骨をつくったり壊したりするスピードを調整する「スクレロスチン」という物質があります。スクレロスチンが多いと、骨をつくる力にブレーキがかかり、新しい骨がつくられにくくなります。

ロモソズマブは、このスクレロスチンをブロックする抗体医薬です。ブレーキを外すことで、骨をつくる力が高まります。同時に、骨が壊されるスピードもゆるやかになる効果があるとされています。
つまり、ロモソズマブは「骨を積極的につくりながら、壊されるのも防ぐ」という二つの作用を併せ持つお薬です。
家にたとえるなら、増築・耐震補強工事をしながら、同時に防水工事も進めるようなものです。限られた工期(12か月)で、家をできるだけ強くするイメージです。
ロモソズマブは、月に1回、医療機関で受ける皮下注射です。
ロモソズマブの治療期間は最長12か月(1年間)と決まっています。12か月を超えて使用することは、現在のところ推奨されていません。

12か月間、月に1回の通院で注射を受けます。自己注射ではないので、「注射が怖い」という方も安心です。
ロモソズマブには、他のお薬にはない特徴があります。
2025年ガイドラインでは、ロモソズマブはエビデンスAの高い評価を受けており、骨折リスクの高い方に対する治療選択肢のひとつとして位置づけられています。
お薬の選択は、骨の状態や他の病気、生活スタイルなどを考慮して、主治医が総合的に判断します。
どんなお薬にも、良い面と気をつけたい面があります。ロモソズマブを安心して使うために、以下のポイントを知っておきましょう。
ロモソズマブの使用にあたって、心臓や血管の病気との関連に注意が必要です。
臨床試験で、ロモソズマブを使用した方の中で心血管系の有害事象(心筋梗塞や脳卒中など)がやや多く報告されました。そのため、以下の方には使用が慎重になる、あるいは使用できない場合があります。
主治医はお薬を選ぶ際に、骨の状態だけでなく心臓や血管の健康状態も考慮します。
心血管系のリスクは、ロモソズマブを選ぶかどうかの判断で重要なポイントです。既往歴がある方は、必ず主治医にお伝えください。
ビスフォスフォネートやデノスマブと同様に、非常にまれですがあごの骨に問題が生じる可能性があります。
予防のために大切なこと:
ロモソズマブの使用中に、血液中のカルシウムが低下することがあります。多くの場合、カルシウムとビタミンDの補充が処方されます。処方されたサプリメントはきちんと続けましょう。
注射した部位が赤くなったり、痛みや腫れが出ることがあります。通常は数日以内に落ち着きます。気になるときは主治医にご相談ください。
ロモソズマブの治療は12か月で終了しますが、骨粗鬆症の治療はそこで終わりではありません。
ロモソズマブで「建てた」骨を守るために、12か月の治療後は骨吸収抑制薬(「まもる」お薬)に切り替えるのが一般的です。
切り替え先としてよく使われるお薬:
治療の全体像でお伝えした「まずつくる → 次にまもる」の流れの中で、ロモソズマブは「つくる」フェーズを担当し、切り替え後のお薬が「まもる」フェーズを引き継ぎます。
ロモソズマブの12か月は、長い治療の「第1章」です。第2章(まもるフェーズ)に引き継ぐことで、建てた骨をしっかり守ります。
骨をつくるお薬(骨形成促進薬)には、ロモソズマブのほかにテリパラチドがあります。どちらも骨をつくる力を高めますが、いくつかの違いがあります。
| ロモソズマブ | テリパラチド | |
|---|---|---|
| 仕組み | スクレロスチンをブロック(つくる+まもる) | 副甲状腺ホルモンを利用(つくる) |
| 投与方法 | 医療機関で月1回注射 | 自己注射(毎日)or 通院注射(週1回) |
| 治療期間 | 最長12か月 | 最長24か月 |
| 自己注射 | 不要 | 毎日タイプは自己注射あり |
| 心血管への注意 | 注意が必要(心筋梗塞・脳卒中の既往歴がある方は慎重) | 特に制限なし |
どちらのお薬が適しているかは、骨密度の状態、骨折の有無、心臓や血管の健康状態、注射への負担感など、さまざまな要素を考慮して主治医が判断します。
次の診察で、こんな質問をしてみてはいかがでしょうか。メモに書いて持っていくと安心です。
「こんなこと聞いていいのかな」と思わなくて大丈夫です。ご自身の治療について知りたいと思う気持ちは、とても大切なことです。
[!warning] お願い 現在処方されているお薬を、自己判断で変えたりやめたりしないでください。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。
Q. 注射は痛いですか?
皮下注射ですので、一般的にはそれほど強い痛みではありません。1回の投与で2本打ちますが、それぞれ短時間で終わります。注射部位の赤みや軽い痛みが出ることがありますが、通常は数日で収まります。
Q. テリパラチドを使った後にロモソズマブを使えますか?
一般的に、テリパラチドとロモソズマブはどちらも「骨をつくるお薬」に分類されます。片方を使った後にもう片方を使う治療については、研究データがまだ限られています。通常は、骨形成促進薬の後は「まもるお薬」(デノスマブやビスフォスフォネート)に切り替えるのが一般的です。具体的な治療計画は主治医にご相談ください。
Q. 12か月より短い期間で終了することはありますか?
副作用が出た場合や、他の理由で治療の継続が難しい場合は、12か月より前に終了することがあります。その場合も、主治医が次のお薬を計画してくれます。
Q. 骨密度はどのくらい改善しますか?
臨床試験では、12か月間の治療で腰椎(腰の骨)の骨密度に大きな改善が報告されています。ただし、改善の程度には個人差があります。治療中は定期的な骨密度検査(DEXA検査)で効果を確認します。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
ロモソズマブは保険適用のお薬です。3割負担の方で月あたり数万円程度の自己負担になることがあります。高額療養費制度を利用できる場合もありますので、詳しくは主治医や薬局にご相談ください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・医籍登録 409723号)
東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院
最終更新:2026年3月18日
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