骨折したらどんな治療があるの? — 保存療法・手術・骨粗鬆症治療の3本柱|骨活ガイド
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骨折したらどんな治療があるの? — 保存療法・手術・骨粗鬆症治療の3本柱

背骨の骨折(椎体骨折)の治療法を「保存療法」「手術」「骨粗鬆症の治療」の3つに分けて解説。手術だけでは不十分 — 骨そのものを強くすることの大切さをお伝えします。

「背骨の骨折って、手術が必要なの?」「手術すれば元に戻るの?」——背骨の圧迫骨折(椎体骨折)と診断されたとき、不安でいっぱいになるのは自然なことです。でも安心してください。多くの場合、手術をせずに回復が期待できます。そして、手術が必要な場合でも、いくつかの選択肢があります。

この記事では、背骨の骨折に対する治療の全体像を「保存療法」「手術」「骨粗鬆症そのものの治療」の3つに分けて、わかりやすくお伝えします。いちばん大切なメッセージを先にお伝えすると、骨折の治療だけでなく、骨粗鬆症そのものの治療を同時に進めることがとても重要です。

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このページでわかること

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治療を知る前に — 大切な前提

背骨の骨折(椎体骨折)の治療法は、骨折の状態や患者さんの全身状態によって大きく異なります。

知っておいてほしいこと:

  • 治療法の選択は、画像検査や症状をもとに主治医が総合的に判断します
  • この記事は一般的な概要です。「自分にはどれが合うか」は、必ず主治医にご確認ください
  • 手術にはリスクと期待できる効果の両面があります
  • 手術をしない場合でも、適切な保存療法で回復される方が多くいらっしゃいます

[!warning] こんな症状があれば、すぐに受診してください 骨折後に以下の症状が新たに出た場合や急に悪化した場合は、すぐに主治医または救急外来に連絡してください。

  • 足に力が入らなくなった、歩けなくなった
  • 足のしびれが急に強くなった
  • 尿が出にくい、または漏れてしまう(膀胱直腸障害の可能性)

これらは神経が圧迫されているサインの可能性があり、早めの対応が大切です。

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保存療法 — 手術をしない治療

背骨の骨折の多くは、手術をせずに回復することが期待できます。

保存療法とは、体の自然な治癒力を助けながら回復を目指す治療です。「手術をしない=何もしない」ではありません。主治医の指導のもと、以下のような治療を組み合わせて行います。

安静と生活の工夫

骨折直後は痛みが強いため、無理をせず体を休めることが大切です。ただし、長期間のベッド上安静はかえって骨や筋力を弱めてしまうため、痛みが落ち着いてきたら少しずつ動くことが勧められます。

コルセット(装具)

骨折した背骨を外側から支え、安定させるための装具です。痛みの軽減にもつながります。主治医が骨折の場所や状態に合わせて処方します。装着期間は通常2〜3か月が目安ですが、個人差があります。

痛みの管理

骨折後の痛みには、飲み薬や貼り薬で対応します。痛みが強い初期には、より強い鎮痛薬が処方されることもあります。痛みを我慢しすぎると動けなくなり、回復が遅れることがありますので、遠慮なく主治医に相談してください。

リハビリテーション

痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもとで少しずつ体を動かしていきます。筋力の維持や転倒予防のための運動が中心です。

保存療法で大切なのは「適度に動く」こと。安静と活動のバランスは、主治医やリハビリスタッフと相談しながら調整していきましょう。

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手術が必要になるとき

保存療法だけでは回復が難しい場合、手術が検討されることがあります。具体的には、以下のような状況です。

  • 痛みが長く続く場合 — 保存療法を続けても、数週間〜数か月たっても痛みが改善しない
  • 骨折した背骨がつぶれていく場合 — 骨がなかなかくっつかず(偽関節)、背骨の変形が進んでしまう
  • 神経の症状が出ている場合 — 足のしびれ、力が入らない、歩行が難しいなどの症状がある

手術が必要かどうかは、レントゲンやMRIなどの画像検査、痛みの程度、日常生活への影響などを総合的に見て、主治医が判断します。

経皮的椎体形成術 — 骨折した背骨を安定させる手術

骨折した背骨(椎体)の中に、医療用のセメントを注入して安定させる手術です。

手術の特徴:

  • 背中に小さな穴を開けて行うため、傷は小さく、体への負担が比較的少ない手術です
  • 骨折による痛みの軽減が期待できます
  • 入院期間は比較的短い傾向があります(施設により異なります)

注意すべき点:

  • セメントが骨の外に漏れる可能性がまれにあります
  • 隣の背骨に新たな骨折が起きることがあります
  • すべての椎体骨折に適応があるわけではありません

この手術にはいくつかの方法がありますが、基本的な考え方は共通しています。どの方法が適しているかは、骨折の状態をみて主治医が判断します。

固定術 — 背骨を支える手術

背骨の変形が大きい場合や、神経の圧迫がある場合には、金属のスクリュー(ネジ)やロッド(棒)を使って背骨を固定する手術が行われることがあります。

手術の特徴:

  • 背骨の安定性を回復させ、神経への圧迫を取り除くことが期待できます
  • 変形の矯正(背中の曲がりを改善する)を目指す場合もあります

注意すべき点:

  • 経皮的椎体形成術と比べると、体への負担はやや大きくなります
  • 骨粗鬆症がある方では、骨がもろいためスクリューが緩みやすいという課題があります
  • 手術後のリハビリテーションが大切です

骨粗鬆症がある方の固定術では、骨の弱さに対応した工夫(セメントで補強したスクリューなど)を使うことがあります。これは手術の成功率を高めるための技術です。

3つの治療法のまとめ

保存療法 経皮的椎体形成術 固定術
どんな治療? コルセット・痛みの管理・リハビリで回復を目指す 骨折した背骨にセメントを注入して安定させる 金属のネジや棒で背骨を固定する
体への負担 小さい 比較的小さい やや大きい
入院の目安 入院なし〜短期 数日〜1週間程度 数週間程度
対象となる方 多くの椎体骨折 痛みが続く・骨がくっつかない場合 変形が大きい・神経症状がある場合
注意点 長すぎる安静は逆効果 セメント漏れ・隣の骨折のリスク スクリューの緩み・リハビリが大切

どの治療が適しているかは、骨折の状態・痛みの程度・全身の状態をみて主治医が判断します。この表はあくまで一般的な目安です。

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いちばん大切なこと — 手術だけでは足りません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

骨折の治療(保存療法や手術)と、骨粗鬆症そのものの治療は、別のものです。

骨折が回復しても、骨がもろいままでは次の骨折が起きてしまいます。「骨折の連鎖」を止めるの記事でお伝えしたように、一度骨折すると次の骨折リスクが大きく高まります。骨折後の最初の2年間はとくに注意が必要です。

家にたとえるなら:

骨折の治療 = 壊れた壁を修理する
骨粗鬆症の治療 = 家全体の耐震性を高める

壁を直しても、家そのものが弱いままでは、
次の地震でまた壊れてしまいます。

骨折をきっかけに骨粗鬆症のお薬を始めることで、次の骨折を防ぐことが期待できます。とくに骨折リスクの高い方には、骨をつくるお薬(骨形成促進薬)を先に使う「アナボリック・ファースト」が2025年の骨粗鬆症ガイドラインで推奨されています。

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周術期の骨の管理

「周術期(しゅうじゅつき)」とは、手術の前後の期間のことです。手術を受ける場合、骨の状態を整えておくことが良い結果につながると考えられています。

手術前にできること

  • 骨密度検査(DEXA検査)を受ける — 骨の状態を正確に把握します
  • 骨粗鬆症の治療を開始する — 手術前から骨を強くするお薬を始めることがあります
  • 栄養状態を整える — カルシウム、ビタミンD、たんぱく質を十分にとりましょう

手術後に大切なこと

  • 骨粗鬆症の治療を続ける(または始める) — 手術が成功しても、骨を強くする治療がなければ再骨折のリスクが残ります
  • 定期的な検査 — 骨密度や骨代謝マーカーで経過を確認します
  • リハビリテーション — 筋力回復と転倒予防に取り組みます

手術をされる先生のチームと、骨粗鬆症を診てくださる先生が連携することで、より良い治療が可能になります。

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骨折をきっかけに検査を

残念ながら、背骨の骨折で手術を受けた方のうち、骨粗鬆症の検査や治療を受けている割合はまだ十分とは言えません。骨折の治療に集中するあまり、骨粗鬆症そのものの対策が後回しになってしまうケースもあるのが現状です。

骨折は、骨粗鬆症を見つけて治療を始める大切なきっかけです。もしまだ骨密度検査や骨代謝マーカーの検査を受けていなければ、主治医に相談してみてください。

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主治医への質問リスト

次の診察で、こんな質問をしてみてはいかがでしょうか。メモに書いて持っていくと安心です。

  • 「私の骨折は、保存療法で治りそうですか?手術が必要ですか?」
  • 「骨粗鬆症の検査(骨密度検査や血液検査)は受けたほうがいいですか?」
  • 「骨折のお薬とは別に、骨を強くするお薬は必要ですか?」
  • 「次の骨折を防ぐために、今からできることはありますか?」
  • 「リハビリはいつから、どんなことを始めればいいですか?」

「こんなこと聞いていいのかな」と思わなくて大丈夫です。ご自身の治療について知りたいと思う気持ちは、とても大切なことです。

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まとめ

  • 背骨の骨折の多くは、手術をせずに保存療法で回復が期待できます
  • 手術が必要な場合は、骨折の状態に応じて「経皮的椎体形成術」や「固定術」が検討されます
  • いちばん大切なのは、骨折の治療と骨粗鬆症の治療を同時に進めること — 骨折が回復しても、骨が弱いままでは次の骨折を防げません
  • 骨折は骨粗鬆症を見つけるきっかけ — まだ検査を受けていなければ、主治医に相談しましょう
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今日からできること

[!warning] お願い 現在処方されているお薬を、自己判断で変えたりやめたりしないでください。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。

  • お薬手帳を確認してみましょう。 骨折の痛み止めだけでなく、骨粗鬆症のお薬(骨を強くするお薬)も処方されていますか?もし見当たらなければ、次の診察で聞いてみてください。
  • 骨密度検査を受けたことがなければ、主治医に相談してみましょう。 骨折をきっかけに骨の状態を知ることが、次の骨折予防の第一歩です。
  • 転倒予防のページもあわせてご覧ください。 骨折の治療中も、転ばない工夫がとても大切です。
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よくある質問

Q. 背骨の骨折は安静にしていれば治りますか?

多くの場合、適切な保存療法(コルセット、痛みの管理、リハビリ)で回復が期待できます。ただし「ずっと寝ていればいい」というわけではなく、痛みが落ち着いたら少しずつ動くことが大切です。長すぎる安静はかえって骨や筋力を弱めてしまいます。

Q. 手術をすれば完全に元通りになりますか?

手術は痛みの軽減や背骨の安定化を目指すものですが、骨折前とまったく同じ状態に戻ることが保証されるわけではありません。手術の効果は骨折の状態や全身の状態によって異なります。大切なのは、手術と並行して骨粗鬆症そのものの治療を進めることです。

Q. 手術にはどのくらい入院が必要ですか?

手術の種類や施設によって異なります。経皮的椎体形成術は比較的短い入院(数日〜1週間程度)で済むことが多い傾向がありますが、固定術ではやや長くなる場合があります。具体的な見通しは、主治医にお尋ねください。

Q. 骨粗鬆症の治療はいつから始められますか?

骨折の状態が安定していれば、比較的早い段階から始められることが一般的です。骨折の治療と骨粗鬆症の治療は同時に進めることが推奨されています。開始のタイミングは主治医が判断します。

Q. 家族にできることはありますか?

骨折後の生活では、転倒しやすい環境を整えることがとても大切です。段差のある場所に手すりをつける、滑りやすいマットを取り除く、夜間の照明を明るくするなど、ご家族の協力が大きな助けになります。転倒予防のページもご参考ください。

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次に読む

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参考文献

  • 日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団 編『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版』ライフサイエンス出版
  • Sardar ZM et al. "Best practice guidelines for assessment and management of osteoporosis in adult patients undergoing elective spinal surgery." Spine. 2021.
  • 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 診療ガイドライン委員会 編「骨粗鬆症性椎体骨折診療マニュアル」
  • Buchbinder R et al. "Percutaneous vertebroplasty for osteoporotic vertebral compression fracture." Cochrane Database Syst Rev. 2018.
  • 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症と骨折について」https://www.jpof.or.jp

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・手術を推奨するものではありません。治療法の選択は、主治医と十分にご相談のうえお決めください。

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医療監修

加藤裕幸整形外科医・医籍登録 409723号

東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院

最終更新:2026年3月18日

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