エストロゲンは骨を守る「盾」のような存在。閉経でその盾が失われるとき、骨に何が起こるのかをやさしく解説します。
閉経(へいけい)を迎えると、卵巣(らんそう)からのエストロゲンの分泌が大きく減ります。これは自然なからだの変化です。
ただ、骨にとっては大きな転換点です。それまで骨を守っていた盾が薄くなり、解体チーム(破骨細胞)へのブレーキがゆるんで、骨を壊すスピードが速まります。

とくに閉経後の5〜10年間は、骨量が急速に減りやすい時期とされています。「静かな病気」を知るでもお伝えしたように、骨量の変化は痛みなどの自覚症状がないまま進むことが多いため、気づきにくいのが特徴です。
閉経後の5〜10年間は、骨量が大きく変化しやすい時期です。
怖い話に聞こえるかもしれませんが、仕組みがわかっていれば対策も立てられます。
閉経は、ある日突然やってくるわけではありません。多くの場合、45〜55歳ごろにかけて、からだは少しずつ変化していきます。この移行期間は「更年期(こうねんき)」と呼ばれています。
更年期には、こんな変化を感じる方が多いです。
こうした変化は気づきやすいのですが、同じ時期に骨の中でも変化が始まっています。エストロゲンの減少は、ほてりと同じタイミングで骨にも影響します。

更年期の変化を感じたら、「骨のことも気にかけてみよう」と思い出していただけたらうれしいです。
更年期の症状がつらい方も、あまり感じない方もいらっしゃいます。症状の有無にかかわらず、骨の変化は起きている可能性がありますので、定期的な骨密度検査について主治医にご相談ください。
女性ホルモンの話ですが、男性のからだの中でも少量のエストロゲンが作られています。
男性ホルモン(テストステロン)の一部が体内でエストロゲンに変換され、男性の骨の健康にも一役買っています。加齢とともにテストステロンが減ると、この変換で作られるエストロゲンも減り、骨量が少しずつ減っていきます。
ただし、男性の場合は女性のような急激な変化(閉経)がないため、骨量の減り方はゆるやかです。
骨の健康に性別は関係ありません。ご家族みんなで意識していただけたらと思います。
このサイトは主に女性の骨を扱っていますが、ご家族の健康を考えるときにも使っていただけます。
Q. 閉経が早いと骨粗鬆症になりやすいですか?
一般的に、閉経が早い方はエストロゲンの恩恵を受ける期間が短くなるため、骨量が減りやすい傾向があるとされています。40歳より前に閉経を迎えた方(早発閉経)は、とくに早めに主治医にご相談されることをおすすめします。
Q. ホルモン補充療法(HRT)は骨に効果がありますか?
ホルモン補充療法(HRT)は、もともと更年期症状(ほてり、発汗、不眠など)の改善を主な目的として使われるお薬です。そのうえで、骨量の維持にも効果があることが確認されています。骨粗鬆症の治療「だけ」を目的にHRTを始めることは一般的ではなく、更年期症状がある方にとっての選択肢と位置づけられています。使用期間やリスク(乳がん、血栓症などとの関連)を考慮して、主治医と十分に相談して決めてください。日本女性医学学会のガイドラインでは、適切な管理のもとでのHRTは有益とされています。
Q. 豆乳や大豆製品のイソフラボンは、エストロゲンの代わりになりますか?
大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た構造を持つことから「植物性エストロゲン」と呼ばれることがあります。食事から適度に摂ることは健康によいとされていますが、医学的にエストロゲンと同じ効果があるわけではありません。サプリメントでの過剰摂取には注意が必要ですので、気になる方は主治医にご相談ください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
医療監修
加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)
最終更新:2026年3月18日