骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれています。痛みも、目に見える変化もないまま、気づかないうちに骨がもろくなっていく——それが骨粗鬆症の大きな特徴です。
この記事では、骨粗鬆症がなぜ静かに進むのか、体の中で何が起きているのか、そしてどうすれば早めに気づけるのかを、一つひとつやさしくお伝えします。
痛みも自覚症状もないまま進行する骨粗鬆症。なぜ「静かな病気」と呼ばれるのか、どうすれば気づけるのかを解説します。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれています。痛みも、目に見える変化もないまま、気づかないうちに骨がもろくなっていく——それが骨粗鬆症の大きな特徴です。
この記事では、骨粗鬆症がなぜ静かに進むのか、体の中で何が起きているのか、そしてどうすれば早めに気づけるのかを、一つひとつやさしくお伝えします。
ある日、玄関先のちょっとした段差につまずいて手をついたら、手首を骨折してしまった——。病院で「骨粗鬆症ですね」と言われて、初めてその言葉を聞いた、という方は少なくありません。
骨粗鬆症には、痛みや自覚症状がほとんどありません。高血圧が「沈黙の殺人者」と呼ばれるのと同じように、骨粗鬆症は骨折して初めて見つかることが多いのです。
骨粗鬆症は「骨が折れるまでわからない」ことが多い病気です。だからこそ、知っておくことが一番の備えになります。
「まさか自分が」と思う方がほとんどです。でも、知っているだけで、早めに検査を受けたり、予防を始めたりすることができます。
骨は生きているの記事でお伝えしたように、骨は毎日少しずつ壊されて(骨吸収)、新しく作り直されています(骨形成)。この「骨のリモデリング(作り替え)」のおかげで、骨は常に新鮮な状態を保っています。
ところが、加齢やホルモンの変化などによって、壊すスピードが作るスピードを上回ると、骨の中にすき間が増えていきます。

イメージしやすいのは、台所のスポンジです。新しいスポンジは目が細かくてしっかりしていますが、骨粗鬆症の骨は、そのスポンジの穴がどんどん大きくなったような状態です。見た目は同じ大きさでも、中がスカスカになっているので、少しの力で折れやすくなります。
骨粗鬆症は「骨が減る病気」というより、「骨の作り替えのバランスが崩れた状態」と考えるとわかりやすいです。
日本では、骨粗鬆症の方はおよそ1,280万人と推定されています(2015年時点のデータ。現在はさらに多い可能性があります)。そのうち約80%が女性です。
閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減ることが大きな原因の一つですが、男性にも起こりうる病気です。
ただし、これだけ多くの方がいるにもかかわらず、実際に治療を受けている方はその一部にとどまっています。「症状がないから大丈夫」と思っている方が多いことが、その理由と考えられています。
骨粗鬆症は決してめずらしい病気ではありません。「もしかしたら私も?」と思うことが、最初の一歩です。
骨粗鬆症によって起きやすい骨折には、おもに4つの部位があります。それぞれ、日常のちょっとした場面がきっかけになります。

背骨(椎体・ついたい) 重いものを持ち上げたり、くしゃみをしただけで、背骨がつぶれるように折れることがあります。「いつの間にか骨折」と呼ばれ、痛みを感じないこともあります。背中が丸くなったり、身長が縮んだりする原因になります。
手首(橈骨遠位端・とうこつえんいたん) 転んで手をついたときに起きやすい骨折です。冒頭のエピソードのように、ちょっとしたつまずきがきっかけになることがあります。
太もものつけ根(大腿骨近位部・だいたいこつきんいぶ) 転倒したときに起きやすく、骨粗鬆症の骨折の中で特に生活への影響が大きいと考えられています。入院や手術が必要になることが多く、回復に時間がかかることがあります。
腕のつけ根(上腕骨近位部・じょうわんこつきんいぶ) 転んで肩や腕を打ったときに起きることがあります。日常動作に影響が出やすい部位です。
どの骨折も、「強くぶつけた」のではなく、「ちょっとした力」で起きるのが骨粗鬆症の特徴です。
骨粗鬆症には目立った症状がありませんが、いくつかの小さなサインがあります。
身長が縮んだ(2cm以上) 若いころと比べて2cm以上身長が低くなっていたら、背骨の骨折が隠れている可能性があります。健康診断のときに確認してみてください。
背中が丸くなってきた 鏡を見て「姿勢が悪くなったかな」と感じたら、それも一つのサインかもしれません。
服のサイズが合わなくなった 背中が丸くなると、今まで着ていた服が合わなくなることがあります。ウエストのあたりがきつく感じたり、スカートの丈が変わったりすることも。
これらは年齢のせいだと思いがちですが、主治医に伝えてみると、検査のきっかけになることがあります。怖がる必要はありません。気づいたことを、次の受診のときにお話ししてみてください。
「なんとなく気になる」を大切にしてください。それが、骨を守る第一歩になります。
Q. 骨粗鬆症は治りますか? 骨粗鬆症は、適切な治療や生活習慣の改善によって、骨密度の低下を抑えたり、骨折のリスクを減らしたりすることが期待できます。「治る・治らない」というよりも、上手に付き合っていく病気と考えていただくとよいかもしれません。治療の選択肢については、主治医にご相談ください。
Q. 骨粗鬆症は女性だけの病気ですか? 女性に多い病気ですが、男性にも起こります。とくに70歳以上の男性では、骨密度が低下している方が増える傾向にあります。性別を問わず、気になる方は検査を受けてみることをおすすめします。
Q. 若いころから気をつけていれば防げますか? 若いころに骨量をしっかり蓄えておくこと(ピークボーンマス)は、将来の骨粗鬆症リスクを下げるために大切です。ただし、それだけで完全に防げるわけではなく、年齢やホルモンの変化の影響も受けます。どの年齢からでも、食事や運動などでできることはあります。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・医籍登録 409723号)
東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院
最終更新:2026年3月18日
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