「骨密度を測りましょう」と言われたけれど、どんな検査かよくわからない——そんな方は多いのではないでしょうか。骨密度検査・DEXA検査(デキサけんさ)は、骨の強さを知るための最も信頼されている検査法です。痛みはなく、時間もわずか数分。この記事では、検査の仕組みから結果の読み方まで、わかりやすくご説明します。
骨密度検査(DEXA)の受け方、Tスコアの意味、結果をどう読めばよいかをわかりやすく解説します。
「骨密度を測りましょう」と言われたけれど、どんな検査かよくわからない——そんな方は多いのではないでしょうか。骨密度検査・DEXA検査(デキサけんさ)は、骨の強さを知るための最も信頼されている検査法です。痛みはなく、時間もわずか数分。この記事では、検査の仕組みから結果の読み方まで、わかりやすくご説明します。
DEXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)は、日本語では「二重エネルギーX線吸収測定法」と呼ばれます。少し難しそうな名前ですが、やっていることはシンプルです。
2種類のごく弱いX線を骨に当てて、骨がどのくらいX線を吸収するかを測定します。骨が密(しっかり詰まっている)であるほどX線を多く吸収し、骨密度が高いと判定されます。

DEXA検査は、骨密度を測る方法のなかで最も精度が高いとされ、世界中で標準的に使われています。
レントゲン検査とは異なり、骨の密度を「数値」で測れるのがDEXA検査の大きな特徴です。
「検査」と聞くと緊張される方もいらっしゃるかもしれません。でも、DEXA検査はとても穏やかな検査です。
骨密度は、一般的に以下の部位で測ります。

この2か所は、骨粗鬆症の影響を受けやすく、骨折のリスクが高い部位でもあります。自治体の検診では、手の骨や足のかかとで測る簡易的な方法(MD法やQUS法)が使われることもありますが、正確な診断にはDEXA検査が推奨されています。
DEXA検査の被ばく量は、胸のレントゲン写真1枚の1/10以下ととても少なく、安心して受けられます。
検査のあと、医師から結果の説明があります。検査結果に出てくる用語を、事前に知っておきましょう。
これから数値の説明が続きますが、全部を覚える必要はありません。「こういうものがあるんだな」とわかっていれば、先生の説明がずっと聞き取りやすくなります。
Tスコアは、若い健康な人の骨密度を基準にして、自分の骨密度がどのくらいの位置にあるかを表す数値です。
わかりやすく言えば、「若い人の平均と比べて、どのくらい差があるか」を示しています。
| Tスコア | 一般的な分類 |
|---|---|
| −1.0以上 | 正常範囲 |
| −1.0〜−2.5 | 骨量減少(骨減少症) |
| −2.5以下 | 骨粗鬆症の範囲 |
この分類は、主に閉経後の女性と50歳以上の男性に適用される基準です(WHO基準)。若年者や閉経前の女性では、異なる評価方法が用いられることがあります。

たとえば、Tスコアが「−1.8」であれば、若い人の平均よりも骨密度が低めですが、骨粗鬆症の診断基準(−2.5以下)には達していない「骨量減少」の範囲、ということになります。
Tスコアの数値だけで治療が決まるわけではありません。骨折の既往、年齢、生活環境など、さまざまな要素を総合して医師が判断します。
※ 結果用紙には「Zスコア」という似た名前の数値が載っていることもありますが、これは別のものです。あとで説明します。
日本の検査結果では、「YAM値(Young Adult Mean)」という表記もよく目にします。
YAM値は、若い健康な成人の骨密度の平均を100%として、自分の骨密度が何%に相当するかを示す数値です。
| YAM値 | 一般的な目安 |
|---|---|
| 80%以上 | 正常範囲 |
| 70〜80% | 骨量減少の範囲 |
| 70%未満 | 骨粗鬆症の範囲 |
YAM値は診断の重要な指標ですが、これだけで骨粗鬆症を診断するわけではありません。骨折の有無や他のリスク要因と合わせて、医師が総合的に判断します。
たとえば、「YAM値78%」と書かれていたら、若い人の平均の78%の骨密度、ということです。
TスコアもYAM値も、どちらも「若い人と比べてどのくらいか」を表しています。見方は少し違いますが、意味していることは同じです。
検査結果の用紙には、TスコアやYAM値のほかに、「BMD」という数値が書かれていることがあります。BMD(Bone Mineral Density)は、骨密度の実測値で、単位はg/cm²(1平方センチメートルあたりのグラム数)です。
たとえるなら、TスコアやYAM値は「偏差値」のようなもので、BMDは「テストの点数そのもの」です。
BMD値そのものの高い・低いを気にする必要はありません。大切なのは、次の検査でこの数値がどう変わったかです。同じ装置で測ったBMD値を比べることで、骨密度の変化をもっとも正確に追いかけることができます。
結果用紙を手にしたら、まずはこの3つだけ見てみてください。
この3つがわかれば、全体の見通しが立ちます。以下では、結果用紙に並ぶ各項目をひとつずつ詳しく説明していきます。
病院で受け取るDEXA検査の結果用紙には、いくつかの項目が並んでいます。「数字がたくさんあって、どこを見ればいいかわからない」と感じるのは自然なことです。ここでは、結果用紙に出てくる主な項目を整理します。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 測定部位 | どこの骨を測ったか(腰椎、大腿骨頸部、大腿骨近位部全体) |
| BMD(g/cm²) | あなたの骨密度の実測値 |
| Tスコア | 若い人の平均との差。−2.5以下が骨粗鬆症の目安 |
| YAM値(%) | 若い人の平均を100%とした割合。70%未満が骨粗鬆症の目安 |
| Zスコア | 同じ年齢の人の平均との差(下で説明します) |
| グラフ | 緑=正常、黄=骨量減少、赤=骨粗鬆症。●印があなたの位置 |

グラフの見方:多くの結果用紙には、年齢を横軸、骨密度を縦軸にした散布図が印刷されています。緑のゾーンは正常範囲、黄色は骨量減少、赤は骨粗鬆症の範囲を示しています。あなたの結果は、グラフ上の「●」印で表示されています。この●がどのゾーンにあるかを見れば、全体的な位置がひと目でわかります。
Tスコアが「若い人と比べた値」であるのに対して、Zスコアは「同じ年齢・性別の人と比べた値」です。
たとえば、75歳の方のTスコアが「−2.8」であっても、Zスコアが「0.0」であれば、「同年代の平均と同じくらいの骨密度」ということになります。
Zスコアは、加齢以外の原因で骨密度が低下していないかを確認するために使われます。Zスコアが−2.0以下の場合、主治医は骨粗鬆症以外の原因(甲状腺疾患、ステロイド使用など)がないか確認することがあります。
通常の診断ではTスコア(またはYAM値)が中心になりますので、Zスコアを過度に気にする必要はありません。結果用紙に載っていたら、「同年代と比べた参考値」くらいに捉えてください。
結果用紙を見て「腰椎は正常なのに、大腿骨では骨量減少と書いてある」と混乱される方がいらっしゃいます。実はこれはとてもよくあることで、異常ではありません。
DEXA検査では通常、以下の部位を測定します。
| 測定部位 | 場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 腰椎(L1-L4) | 腰の背骨 | 治療の効果が比較的早く表れやすい部位です |
| 大腿骨頸部 | 太ももの付け根の細い部分 | 大腿骨骨折のリスク評価に重要です |
| 大腿骨近位部全体(Total Hip) | 太ももの付け根全体 | 大腿骨頸部よりも広い範囲を測定します |
骨密度は体の部位によって異なります。これは、それぞれの骨の構造や、日常生活でかかる力の違いによるものです。
数値が部位によって異なるとき、どう判断するのか?
主治医は、もっとも低い値を示した部位をもとに診断します。たとえば、腰椎のYAM値が82%(正常)で大腿骨頸部が68%(骨粗鬆症の範囲)であれば、大腿骨頸部の値をもとに治療方針を考えます。
「いちばん低い数値に合わせる」と覚えておきましょう。腰椎が良くても、大腿骨が低ければ、対策が必要です。
腰椎の数値が実際より高く出ることがあります
ご高齢の方では、腰の骨に加齢による変形(変形性脊椎症)や動脈の石灰化が起きていることがあり、これらがDEXA検査で骨密度として測定されてしまうことがあります。そのため、腰椎の値だけが不自然に高く見える場合があります。
主治医はこのことを考慮して、大腿骨の値も合わせて総合的に判断しています。「腰椎は良い数値なのに、なぜ治療が必要なの?」と感じたときは、大腿骨の数値を確認してみてください。
[!info] 腰痛で整形外科を受診されている方へ 腰部脊柱管狭窄症の検査でMRIやレントゲンを撮る際に、骨密度検査(DEXA検査)もあわせて受けることをおすすめします。脊柱管狭窄症と骨粗鬆症は同じ年齢層に多く、両方を同時に管理することが大切です。腰痛・脊柱管狭窄症の検査について詳しくは 腰痛・狭窄症 相談室(scs-for-lcs.com) もご参照ください。
骨密度検査で最も大切なのは、実は「前回の自分との比較」です。
1回の検査だけでは、それが自分にとって高いのか低いのかの判断が難しいこともあります。定期的に検査を受けることで、「骨密度がどう変化しているか」の流れ(トレンド)が見えてきます。
骨密度の変化を記録して、主治医との相談に活かしていきましょう。当サイトのDEXA記録機能もご利用いただけます(メンバー限定)。
骨密度の「写真」と合わせて、血液検査で測る骨代謝マーカーという「日記」も一緒に確認すると、骨の中で今何が起きているかがより詳しく見えてきます。
安心ですが、それで終わりではありません。骨量は年齢とともに自然に減っていきますので、定期的な検査を続けることが大切です。とくに閉経後の方は、1〜2年ごとの検査が推奨されています。
骨粗鬆症の手前の状態です。多くの場合、食事や運動などの生活習慣の改善が最初のステップになります。主治医と相談しながら、次の検査までにできることを一緒に考えていきましょう。
骨密度だけでなく、年齢や骨折歴などを含めた総合的なリスク評価(FRAX)を受けることで、今の自分にどのくらいの対策が必要かがより明確になります。
数値だけで不安に思う必要はありません。骨粗鬆症は、適切な治療と生活改善によって、骨折のリスクを大きく減らすことが期待できる病気です。主治医が、あなたの状況に合った治療方針を一緒に考えてくれます。
どんな結果であっても、「知ること」は前向きな第一歩です。結果を怖がる必要はありません。
整形外科、内科、婦人科など、骨密度検査(DEXA)の装置がある医療機関で受けられます。事前に「骨密度検査(DEXA検査)が可能ですか」と問い合わせてみるとスムーズです。費用は保険適用の場合、自己負担(3割)でおおむね1,000〜2,000円程度です。
多くの自治体では、節目年齢(40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳など)を対象に、無料または低額で骨密度検診を実施しています。お住まいの市区町村のホームページや広報誌で確認してみてください。
ただし、自治体の検診では簡易的な測定法(手やかかとでの測定)が使われることも多いです。より正確な結果が必要な場合は、医療機関でのDEXA検査をおすすめします。
骨密度検査は、以下のような場合に保険が適用されます。
保険適用での検査間隔は、原則として6か月以上あけることとされています。実際の間隔は、主治医が状況に応じて判断します。
次の診察で、こんな質問をしてみてはいかがでしょうか。
質問を準備しておくと、短い診察時間でも大切なことを聞き逃しにくくなります。この記事を読んでいただいた今なら、先生の説明がきっと聞き取りやすくなるはずです。
検査結果を見て不安に思っても、ご自身の判断でお薬を変えたりやめたりしないでください。必ず主治医にご相談ください。
Q. 骨密度検査(DEXA検査)に痛みはありますか?
いいえ、まったく痛みはありません。ベッドに仰向けに横になっていただくだけで、検査機器が自動で測定します。注射や薬の投与も不要です。所要時間は5〜10分程度です。
Q. X線を使うとのことですが、被ばくは大丈夫ですか?
DEXA検査の被ばく量は非常に少なく、胸のレントゲン写真1枚の約1/10程度です。飛行機で東京〜ニューヨーク間を往復する際に受ける宇宙放射線よりも少ないとされています。通常の検査頻度であれば、健康への影響を心配する必要はありません。
Q. どのくらいの頻度で受ければよいですか?
一般的には、骨粗鬆症の治療中の方は6か月〜1年ごと、経過観察中の方は1〜2年ごとの検査が目安とされています。具体的な頻度は、主治医が骨密度の変化や治療内容に応じて判断します。
Q. 自治体の検診(手やかかとの測定)でも十分ですか?
スクリーニング(ふるい分け)としては有用です。ただし、簡易法はDEXA検査と比べて精度が低く、骨粗鬆症の正確な診断には向きません。自治体の検診で「要精密検査」と言われた場合は、医療機関でDEXA検査を受けることをおすすめします。
Q. TスコアとYAM値、どちらを見ればよいですか?
どちらも「若い人の骨密度と比べた値」で、本質的に同じことを表しています。日本の医療機関ではYAM値が使われることが多く、国際的な文献ではTスコアが標準的です。主治医が説明に使う方を参考にしていただければ大丈夫です。
Q. 腰椎と大腿骨で結果が違いますが、どちらが正しいのですか?
どちらも正しい値です。骨密度は体の部位によって異なるのが普通です。診断は、もっとも低い値を示した部位をもとに行われます。とくにご高齢の方では、腰椎に加齢による変形があると実際より高い値が出ることがあるため、主治医は大腿骨の値も重視して判断します。
Q. 結果用紙に「Zスコア」という数値がありますが、何ですか?
Zスコアは「同じ年齢・性別の人と比べた値」です。Tスコアが「若い人と比べた値」であるのに対して、Zスコアは同年代の中でのあなたの位置を示します。通常の骨粗鬆症の診断ではTスコア(またはYAM値)が使われますので、Zスコアは参考値としてお考えください。
Q. 検査結果が悪くても、改善できますか?
骨密度の低下をゆるやかにしたり、場合によっては改善が期待できることもあります。食事・運動の見直しや、必要に応じた薬物治療によって、多くの方が骨折リスクの低減を実感されています。「もう遅い」ということはありませんので、まずは主治医に相談してみてください。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・医籍登録 409723号)
東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院
最終更新:2026年3月18日
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