圧迫骨折の日常生活ガイド — やってはいけないこと・安全な動き方|骨活ガイド
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圧迫骨折の日常生活ガイド — やってはいけないこと・安全な動き方

圧迫骨折後の日常生活で避けるべき3つの動作と、起き上がり・トイレ・入浴・着替えの安全な方法をわかりやすく解説します。

「圧迫骨折と言われたけれど、日常生活で何に気をつければいいの?」「どう動けば悪化しないの?」——背骨の骨折(椎体骨折)と診断されたあとの毎日は、不安でいっぱいだと思います。でも大丈夫です。いくつかのルールを知っておくだけで、骨折を悪化させずに安全に過ごすことができます。

この記事では、圧迫骨折後の日常生活でやってはいけないことと、安全な動き方のコツを場面ごとにお伝えします。

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このページでわかること

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避けるべき3つの動き

圧迫骨折後の日常で、とくに注意していただきたい動きが3つあります。

1. 前かがみ(前屈)

背骨の前側に強い力がかかり、骨折部がさらにつぶれてしまう原因になります。

こんな動作が危険です:

  • 靴の脱ぎ履き(かがんで行う場合)
  • 床のものを拾う
  • 洗髪のとき前かがみになる
  • 洗濯物を下から持ち上げる

代わりにこうしましょう:

  • 靴はベンチに座って履く。靴べら(長い柄付き)を使う
  • 床のものは膝を曲げてしゃがむか、マジックハンド(リーチャー)を使う
  • 洗髪はシャワーチェアに座り、上を向いて洗う
  • 洗濯物は腰の高さのカゴに入れる

2. 体をひねる(回旋)

背骨に「ねじる力」が加わると、骨折部に負担がかかります。

こんな動作が危険です:

  • 後ろを振り返る(車のバック時など)
  • 体をひねって物を取る
  • 掃除機をかけるときの大きなひねり

代わりにこうしましょう:

  • 振り返るときは体ごと向きを変える
  • 物を取るときは正面を向いたまま体ごと移動する
  • 掃除機は小さな動きで、体の正面でかける

3. 重いものを持つ

背骨に強い荷重がかかり、骨折部がさらにつぶれるリスクがあります。

こんな動作が危険です:

  • 重い買い物袋を持つ
  • お孫さんを抱き上げる
  • 布団の上げ下ろし

代わりにこうしましょう:

  • 買い物はカートを使うか、軽い量に分ける
  • お孫さんは座った状態で膝の上に乗せる
  • 布団は家族に手伝ってもらうか、ベッドに切り替える

「気をつけなければ」と思うあまり、まったく動かなくなる方がいらっしゃいます。でも、動かないこともリスクです。筋力が落ち、骨はさらに弱くなります。大切なのは「やってはいけない動き」を避けつつ、安全に体を動かすことです。

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ベッドからの起き上がり方

朝起きるとき、腹筋を使って「よいしょ」と起き上がると、背骨に大きな負担がかかります。「丸太のように転がる」ログロール法を使いましょう。

ログロール法(丸太転がり)

  1. 仰向けのまま、まず両膝を立てます
  2. 体をひとかたまりにして、横向きに転がります(背骨をねじらないよう、肩と腰を同時に動かします)
  3. 横向きのまま、両足をベッドの端から下ろします
  4. 下側の腕でベッドを押して、上体を起こします

ポイントは「腹筋で起き上がらない」こと。横向きになってから、腕の力で体を起こすのがコツです。寝るときはこの逆の手順で行います。

ベッドの選び方

  • できればベッドの高さは膝と同じくらいが理想です。低すぎると立ち上がりに力が要ります
  • 電動ベッドの場合、折れ目が腰(骨折部)に来ないように調整してください。折れ目は股関節の位置に合わせます
  • 布団よりベッドのほうが起き上がりの負担が少なくなります
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安全な座り方と立ち上がり方

座るとき

「ドスン」と座らないことがいちばん大切です。勢いよく座ると、背骨に衝撃が加わり、骨折が悪化する恐れがあります。

  • 椅子のひじ掛けや座面に手をついて、ゆっくり腰を下ろします
  • 座面が低すぎる椅子やソファは避けましょう。膝よりお尻が低くなると、立ち上がるときに大きな力が必要です
  • 座布団やクッションで座面を高くする工夫も有効です

立ち上がるとき

  • 椅子のひじ掛けテーブルに手をついて、腕の力も使って立ち上がります
  • 前かがみになりすぎないよう、顔を前に向けたまま立ちます
  • 勢いをつけて「えいっ」と立つのではなく、ゆっくり体重を前に移しながら立ちましょう

床に座る場合

畳の生活が中心の方は、床からの立ち上がりが課題になります。

  • できれば椅子生活に切り替えることをお勧めします
  • やむを得ず床に座る場合は、立ち上がるときに近くの家具に手をつきましょう
  • 座椅子を使う場合は、背もたれが高く、腰を支えるものを選んでください
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日常動作の工夫

トイレ

  • 便座が低いと立ち座りが大変です。補高便座(便座の上に置くかさ上げ用品)の使用を検討してください
  • トイレの壁に手すりがあると安全です。工事なしで取り付けられるタイプもあります
  • 和式トイレはしゃがむ動作が背骨に負担をかけるため、洋式トイレへの変更をお勧めします

入浴

浴室は滑りやすく、圧迫骨折後にもっとも注意が必要な場所のひとつです。

  • シャワーチェア(入浴用椅子)を使い、座って体を洗いましょう
  • 浴槽の出入りには浴槽用手すり(吸盤式や挟み込み式)が便利です
  • 浴槽内と洗い場には滑り止めマットを敷きましょう
  • 足先を洗うときは前かがみにならず、足を持ち上げて洗うか、長い柄のブラシを使いましょう
  • 浴槽台(入浴台)を浴槽内に置くと、浴槽が深くても出入りが楽になります

着替え

  • 靴下はソックスエイド(靴下を履く補助具)を使うと、前かがみにならずに履けます
  • ズボンは座って履きましょう。立ったまま片足を上げるとバランスを崩す危険があります
  • かぶりのシャツより、前開きのシャツのほうが着脱が楽です

台所

  • 重い鍋やフライパンは避け、軽い調理器具を使いましょう
  • 調理台の前で長時間立つと腰に負担がかかります。こまめに座って休憩しましょう
  • 高い棚のものを取るときは踏み台を使い、腕を伸ばしすぎないようにしましょう(転倒にも注意)
  • 下の棚のものはしゃがんで取るか、よく使うものは腰の高さに配置し直しましょう
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寝るときの姿勢

寝ている時間は長いため、背骨への負担を減らす工夫が大切です。

おすすめの姿勢

  • 横向き:膝の間に枕やクッションを挟むと、背骨がまっすぐに保たれます
  • 仰向け:膝の下に枕を入れると腰の反りが和らぎ、楽になることがあります
  • どちらが楽かは人によって異なります。痛みが少ない姿勢を選んでください

避けたほうがよい姿勢

  • うつ伏せ:腰が反りすぎて背骨に負担がかかります
  • 丸まった姿勢(胎児のように丸くなる):長時間この姿勢をとると、背骨が前かがみの状態で固まりやすくなります

寝具の工夫

  • マットレスは硬すぎず柔らかすぎないものを。体が沈みすぎると寝返りが打ちにくくなります
  • 電動ベッドの場合は、就寝時はフラット(平ら)にしましょう。折れたままだと背骨に不自然な力がかかります

痛みで寝つけない場合は、無理に横にならず、リクライニングチェアなどで楽な姿勢を見つけることもひとつの方法です。痛みが続くようなら、我慢せずに主治医に相談してください。

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外出・家事・車の運転

外出

  • 杖やシルバーカーを使うと安定して歩けます
  • 人混みは転倒のリスクが高いため、混雑する時間帯を避けましょう
  • バスや電車では座れる位置を確認してから乗りましょう。急ブレーキで転倒することがあります
  • 長時間の外出は疲れやすいため、途中で休憩できるルートを選びましょう

家事

  • 掃除機は軽いものを使い、ロボット掃除機の活用も検討してください
  • 洗濯物は低い物干し室内干しにして、高い場所に手を伸ばす動作を避けましょう
  • 買い物はネットスーパー宅配サービスを活用すると、重い荷物を持たずに済みます

車の運転

  • コルセット(装具)を着けている間は運転しないでください。 振り返りや急ハンドルの動きが制限され、安全確認ができません
  • 運転を再開するタイミングは主治医と相談してください
  • 再開後も、ミラーを調整して体をひねる動きを減らす工夫をしましょう
  • 長時間の運転は避け、1時間ごとに休憩して体を動かしてください
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便利な道具リスト

圧迫骨折後の生活を楽にしてくれる道具があります。多くは介護用品店やネットで購入できます。

道具 用途 目安の価格
リーチャー(マジックハンド) 床のものを拾う、高い場所のものを取る 1,000〜2,000円
ソックスエイド 前かがみにならずに靴下を履く 1,000〜1,500円
長い柄の靴べら 立ったまま靴を履く 500〜1,500円
補高便座 トイレの座面を高くする 3,000〜8,000円
シャワーチェア 座って体を洗う 3,000〜15,000円
浴槽用手すり 浴槽の出入りを安全にする 5,000〜15,000円
滑り止めマット 浴室の転倒予防 1,000〜3,000円
ベッド用サイドレール ベッドからの転落防止・起き上がりの補助 3,000〜10,000円

介護保険の認定を受けている方は、福祉用具のレンタルや購入の補助を受けられる場合があります。ケアマネージャーや地域包括支援センターにご相談ください。

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主治医への質問リスト

次の診察で、日常生活について聞いてみてはいかがでしょうか。

  • 「日常生活で特に気をつける動きはありますか?」
  • 「コルセットは寝るときも着けたほうがいいですか?」
  • 「どのくらい歩いてもいいですか?」
  • 「車の運転はいつから再開できますか?」
  • 「介護保険の申請は必要でしょうか?」
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まとめ

ポイント 内容
3つのNG動作 前かがみ・ひねり・重いものを持つ — この3つを避けるだけで骨折の悪化リスクが大きく下がります
起き上がりはログロール 腹筋で起き上がらず、横向きに転がってから腕で起きる
座るときはゆっくり ドスンと座らない。ひじ掛けや手すりを使って静かに腰を下ろす
道具を活用する リーチャー、ソックスエイド、シャワーチェアなどで前かがみを減らす
動かないのもリスク 安全な範囲で体を動かすことが、回復と次の骨折予防につながります
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今日からできること

[!warning] お願い 現在処方されているお薬を、自己判断で変えたりやめたりしないでください。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。

  • 家の中を点検してみましょう。 よく使うものが腰の高さにありますか?床に散らばっているものはありませんか?つまずきやすい場所に目印や手すりをつけましょう。
  • 「3つのNG動作」を家族にも伝えましょう。 前かがみ・ひねり・重いものを持つ動作を、周りの方にも知ってもらうことで、自然にサポートしてもらえます。
  • 便利な道具を1つ試してみましょう。 リーチャーやソックスエイドは安価で、日常の「前かがみ」を大幅に減らしてくれます。
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よくある質問

Q. 散歩はしてもいいですか?

はい、痛みが許す範囲で散歩することは推奨されます。歩くことは骨に適度な負荷をかけ、筋力を維持するためにとても大切です。ただし、痛みが強い急性期は無理をせず、主治医に相談しながら少しずつ距離を伸ばしていきましょう。

Q. 孫を抱っこしたいのですが…

お気持ちはとてもよくわかります。立った状態でお孫さんを持ち上げる動作は背骨に大きな負担がかかるため、骨が十分に回復するまでは避けてください。座った状態で膝の上に乗せてもらう形なら、背骨への負担は少なくて済みます。

Q. 布団からベッドに変えたほうがいいですか?

可能であれば、ベッドへの変更をお勧めします。床から立ち上がる動作は背骨にも脚にも大きな負担がかかります。介護保険の認定を受けている方は、電動ベッドのレンタルが可能な場合もあります。

Q. 温泉や銭湯には行けますか?

骨折の急性期(痛みが強い時期)は避けてください。痛みが落ち着いてきたら、主治医に確認のうえ入浴は可能ですが、滑りやすい床、段差の多い浴場、長湯による立ちくらみにはとくに注意してください。手すりのある施設を選び、できれば付き添いの方と一緒に行きましょう。

Q. 旅行はいつから行けますか?

骨折の状態や回復の程度によりますが、一般的にはコルセットが外れ、日常生活に支障がなくなってからが目安です。長時間の移動は腰に負担がかかるため、こまめな休憩を計画しましょう。飛行機の利用については主治医にご確認ください。

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次に読む

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参考文献

  • 日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団 編『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版』ライフサイエンス出版
  • 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 診療ガイドライン委員会 編「骨粗鬆症性椎体骨折診療マニュアル」
  • Royal Osteoporosis Society "Managing Your Recent Spinal Fracture" Patient Guidance, 2022
  • 日本整形外科学会「骨粗鬆症」https://www.joa.or.jp
  • 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症と骨折について」https://www.jpof.or.jp

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。日常生活の工夫について気になることがあれば、主治医やリハビリスタッフにご相談ください。

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医療監修

加藤裕幸整形外科医・医籍登録 409723号

東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院

最終更新:2026年3月21日

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