お肌のために、日傘や日焼け止めをきちんと使ってきた。その心がけが、実は骨に必要な「あるもの」を遠ざけていたかもしれません。
外来で、こんなお話をすると、はっとされる方が少なくありません。
「カルシウムは摂っているのに、なぜか骨が……」という方に、私はときどき、こう尋ねます。「日に当たること、ありますか?」
カルシウムをいくら頑張って摂っても、それを腸から体に取り込む“案内係”がいなければ、骨には届きません。その案内係がビタミンDです。そして日本人は、実に多くの方がこのビタミンDが足りていない、という調査結果があります。
日傘の下で、少しだけ。お肌を守りながら、骨にも光を。
「きちんとしている人」ほど、不足しがち
ビタミンDは、日光(紫外線)が肌に当たることで、体の中で作られます。ところが——日傘、日焼け止め、長袖。お肌を大切にする心がけが行き届いている方ほど、ビタミンDが作られにくい、という皮肉が起きるのです。
これは、あなたの努力が間違っていたという話ではありません。美白も、骨も、どちらも大切。ただ、ほんの少しだけ、光を取り入れる工夫を足せばいいのです。なぜ日本人に不足が多いのか、季節や地域でどう違うのかは、記事でくわしくお話ししています。
「焼く」のではなく「浴びる」
必要なのは、日焼けするほどの日光ではありません。天気のいい日に、顔と手に15分ほど光が当たる。それだけで十分です。買い物のついでの散歩、ベランダで一息——その短い時間が、骨を助けます。
日光浴は「焼く」ためではなく、「浴びる」ため。日傘の下からでも、少し外に出るだけで違います。
魚(鮭・さんま)やきのこ(きくらげ・干ししいたけ)にもビタミンDは多く含まれます。冬や、どうしても外に出にくい方は、こうした食品で補ってください。
なお、骨粗鬆症の治療で「活性型ビタミンD」というお薬をもらっている方は、市販のサプリを自己判断で足さないでください。これは別物で、重なると体に負担になることがあります。気になるときは主治医に。
今日できること
今日は、こんな小さな一歩から。
「次の晴れた日、日傘をたたんで、15分だけお散歩してみる」
お肌を守りながら、骨にも光を。次回は、骨にいい身近な食べものの代表——「納豆」のうれしい話をお届けします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医・日本脊椎脊髄病学会指導医)