検査結果の紙には、見慣れない数字とアルファベットがずらり。先生の説明も、半分くらいしか頭に入らなかった——大丈夫です。全部は覚えなくていいんです。
骨密度検査の結果をお渡しすると、紙をじっと見つめたまま、こうおっしゃる方がよくいます。
「先生、数字がたくさんあって……どこを見たらいいのか、さっぱりで」
YAM、Tスコア、BMD。アルファベットと数字とグラフ。初めて見れば、戸惑って当然です。そして、その場で説明を聞いても、不安なときほど、頭にはなかなか入ってこないものです。
数字の海で迷子にならなくて大丈夫。見るところは、ほんの少しです。
まずは「3つ」だけで、いいんです
結果の紙には確かにたくさんの数字が並びます。でも、最初に見るのは、たった3つで十分です。
ひとつ、グラフの中の●印がどの色のゾーンにあるか(緑なら正常、黄色は注意、赤は骨粗鬆症の範囲)。ふたつ、いちばん低い数字(腰と足の付け根、低いほうが基準になります)。みっつ、前回からどう変わったか。
「YAM値78%って何?」「Tスコアって?」——その一つひとつの意味は、記事でやさしく、ひとつずつ説明しています。あわてて全部を覚える必要はありません。
数字は「敵」ではなく「目印」
検査の数字を見ると、つい「低い=悪い、私はダメだ」と落ち込んでしまいがちです。でも、数字はあなたを評価するための点数ではありません。「どこに気をつければいいか」を教えてくれる、道しるべです。
しかも、いちばん大切なのは、今日の数字そのものよりも、これからの変化です。今の数字を出発点として、半年後・一年後にどう動いたか。それを見ていくことが、治療や生活改善がうまくいっているかの、いちばん確かなサインになります。
一回の数字は「点」。続けて測ると「線」になります。骨の状態は、その線が教えてくれます。
なお、血液検査で「骨の今の動き」を見る数字(骨代謝マーカー)もあります。こちらが気になった方は、骨代謝マーカーとはものぞいてみてください。
今日できること
結果の紙を前に、もう固まらなくて大丈夫です。今日は、こう考えてみてください。
「全部わからなくていい。まず、●印の色と、前回との違いだけ」
そして、わからないことは遠慮なく主治医に聞いてください。「この数字、どういう意味ですか?」と。この回を読んだあなたなら、先生の説明が、きっと前より聞き取りやすくなっているはずです。
次回は、「骨密度は正常と言われたのに、なぜ折れるの?」——数字だけでは見えない、骨のもうひとつの一面についてお話しします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)