ショーウィンドウに映った自分の横姿に、はっとする。「母みたいな背中になってきた」——その小さな気づきは、見逃してはいけない大切なサインかもしれません。
ふだん、自分の横顔や背中を見る機会は、あまりありません。だからこそ、ふとした瞬間に気づきます。
店のガラスに映った自分の姿。家族が撮った写真。「あれ……私、こんなに背中が丸かったかしら」と。
外来でも、こうおっしゃる方がいます。「最近、母にそっくりな姿勢になってきたんです」。その声には、加齢への少しの寂しさと、かすかな不安がにじんでいます。
「背中が丸くなった」——その気づきは、あなたの体からの、静かなお便りです。
「年のせい」と、片づけないでください
背中が丸くなる。身長が縮む。こうした変化を、つい「年だから仕方ない」と片づけてしまいがちです。
でも、その裏に、背骨の圧迫骨折(背骨が少しずつつぶれること)が隠れていることがあります。しかもこの骨折は、痛みを感じないまま起きることが多いのです。だから、気づけなかったとしても、それはあなたのせいではありません。
背中の変化は、「老い」のサインであると同時に、「骨からのお便り」でもあります。
壁ひとつで、確かめられます
気になったとき、ご自宅で今すぐできる確かめ方があります。壁立ちテストです。
壁にかかと・お尻・背中をつけて立ったとき、後頭部が自然に壁につくかどうか。もし頭が前に出て壁から離れてしまうなら、背骨の変化が隠れているサインかもしれません。やり方とチェックの仕方は、記事でていねいに説明しています。
あわせて、こんなことにも気づいてみてください。若いころより身長が2cm以上縮んでいないか。体重は変わらないのに、上着の前がたるんでいないか。これらも、背骨からの小さなお便りです。
気づけたあなたは、もう一歩前にいます
背中の変化に気づくこと。それ自体が、実はとても大切なことです。多くの方が見過ごしてしまうサインに、あなたは気づけたのですから。
今日できることは、ふたつ。
ひとつ、壁に背中をつけて、後頭部がつくか確かめてみる。 ひとつ、次の受診で「最近、背中が丸くなった気がします」と一言、伝えてみる。
その一言が、レントゲンや検査のきっかけになります。次回は、その「検査」——骨密度検査が実際どんなものなのか、こわくないんだということを、お話しします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)