自分のリスクを調べてみたい。でも、知るのが少しこわい——その気持ち、よくわかります。でも「知ること」は、こわがるためではなく、備えるためのものです。
「先生、私って……骨粗鬆症になりやすいほうなんでしょうか」
外来でこう尋ねる方の声は、たいてい少しだけ小さくなります。本当は知りたい。でも、もし「なりやすい」と言われたら——そう思うと、聞くのをためらってしまう。とても自然なお気持ちです。
でも、安心してください。リスクを知ることは、不安を増やすためではありません。むしろ逆で、「どこに気をつければいいか」がわかると、漠然とした不安は小さくなります。
「知るのがこわい」を、「知って備える」へ。その一歩を、そっと後押しさせてください。
リスクには、2つの種類があります
骨粗鬆症のなりやすさには、大きく分けて2つの要因があります。
ひとつは、自分では変えられないもの——年齢、性別、体格、そして家族歴。もうひとつは、今日から変えられるもの——食事、運動、お酒やたばこなどの習慣です。
変えられない要因を知るのは、自分を責めるためではありません。「自分はどのくらい気をつけたほうがいいか」の目安にするためです。そして変えられる要因は、裏を返せば「今日から手をつけられるところ」でもあります。
どんな項目があるのか、ご自身でそっと確かめられるチェックリストを、記事に用意しています。
「お母さんのこと」、思い出してみてください
リスクの中で、見落とされがちなのに、とても大切な手がかりがあります。家族歴です。
もし、あなたのお母さまやおばあさまが、背中が丸くなっていた、身長が縮んでいた、あるいは太ももの付け根を骨折したことがある——もしそうなら、あなたも少し気にかけておく価値があります。骨の質や量には、受け継がれる部分があるからです。
「そういえば、母も背中が丸かった」——その記憶が、あなたの骨を守る大切なヒントになります。
お盆やお正月、ご家族が集まったときに、さりげなく聞いてみてください。それは詮索ではなく、自分とご家族の健康を守るための、やさしい会話です。
こわいのは、「わからない」から
人が何かをこわいと感じるのは、たいてい「正体がわからない」ときです。リスクをひとつずつ確かめていくと、こわさは「気をつけるポイント」という、扱えるものに変わっていきます。
今日できることは、ひとつ。
「知るのがこわい」を、「知って備えよう」に、そっと置きかえてみること。
チェックして気になる項目があったら、それは検査を受けるよい合図です。次回は、自分の体が出す「見た目のサイン」——背中の変化について、一緒に見ていきましょう。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)