痛めた覚えもないのに背が縮み、背中が丸くなっていたら、「いつのまにか骨折」かもしれません。気づいた方に、これからの見通しをお話しします。
外来でレントゲンを見ながら、こうお伝えすることがあります。
「背骨に、少し前につぶれた跡がありますね。圧迫骨折です」
すると、多くの方が驚かれます。「えっ、私、転んだ覚えも、強くぶつけた覚えもないんです」と。背骨の圧迫骨折は、その3分の2ほどがはっきりした痛みのないまま起きるといわれ、そのため「いつのまにか骨折」と呼ばれています。気づけなかったのは、あなたのせいではありません。
「いつのまにか骨折」は、痛みのないまま起きることが多い骨折です。
まず、知っておいてほしい見通し
いちばん気がかりなのは、これからどうなるのか、だと思います。先に、安心していただけることからお伝えします。
圧迫骨折のおよそ8割は、手術をせずに骨がくっついていきます。回復は、痛みの強い時期、少しずつ動ける時期、日常に戻る時期と、段階を踏んで進みます。今どの段階にいるかが分かると、毎日の不安はずいぶん軽くなります。時期ごとの過ごし方や、いつ何ができるようになるかは、次の記事にまとめています。
📖 圧迫骨折の回復の見通し — いつ何ができるようになるか
縮んだ背は戻せなくても、「これ以上」は防げる
つぶれて低くなった背骨は、元の高さには戻りません。けれども、ここから先の身長低下や、次の骨折を防ぐことは十分にできます。
そのために、骨折の治療と並行して、骨粗鬆症そのものの治療を始めてください。骨折が治っても、骨がもろいままでは、また同じことが起きてしまいます。骨折を、骨粗鬆症の治療を始めるきっかけと受け止めていただけたらと思います。
回復は一直線ではなく、良い日と悪い日を繰り返しながら、波を描いて良くなっていきます。焦らなくて大丈夫です。
今日できること
まだ骨密度の検査や骨粗鬆症の治療を始めていなければ、次の受診でぜひ相談してください。
次回は、「一度折れたら、また折れるの?」という不安にお答えします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医・日本脊椎脊髄病学会指導医)