骨は、できあがったら終わりの石ではありません。今この瞬間も、体の中で少しずつ作り直されています。
外来で骨の話をするとき、私はよくこうお伝えします。
「骨はね、生きているんですよ」
すると、多くの方が少し驚いた顔をされます。「えっ、骨って硬いし、ずっと同じものだと思っていました」と。
レントゲンに白く写る骨は、たしかに動かない部品のように見えます。けれども骨は、体の中で毎日入れ替わりを続けている生きた組織です。
骨は生きていて、今日も入れ替わっています。
古いところを直しながら、ずっと使われている
ずっと工事中の家を思い浮かべてください。古くなった柱を見つけては少しずつ取り替えていく。その小さな補修工事が、骨の中では24時間、休みなく続いています。
骨を壊す担当と、新しく作る担当。この2つの職人チームがかわるがわる働き、骨は何年もかけて、まるごと新しく入れ替わっていきます。くわしい仕組みは、記事で絵を使って説明しています。
だから、「もう手遅れ」ではない
骨が毎日作り直されているということは、今日からの暮らしが、これからの骨に反映されるということです。骨が一度作ったら終わりのものなら、年を重ねてからできることはありません。実際には骨は今日も新しく作られているので、食事や運動を変えれば、その分が骨に届きます。
「もう年だから」と思っている方にも、骨は今日も作り直されています。
「骨密度が下がっている」と言われると、つい自分の体にがっかりしてしまいます。でも、骨は怠けていたわけではありません。長い年月体を支えながら、今も入れ替わりを続けています。
今日できる、たったひとつのこと
今日は、こう思っていただくだけで十分です。
「私の骨は、今もがんばってくれている」
自分の体を責めるより、ねぎらうほうが、これから一緒に学んでいく食事や運動は続けやすくなります。
次回は、骨の働きを陰で支えてきた女性ホルモンと、閉経でやってくる変化についてお話しします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医・日本脊椎脊髄病学会指導医)